第6展示室(2)

カートリッジフィルムのカメラ

cameras for cartridge film

カートリッジフィルムの必要性

 写真は,人々の思い出を記録する,すばらしいシステムである。しかし,カメラを一般の人が使うことは,決して容易ではなかった。操作に,それなりの知識や慣れが必要だったからである。そのような問題点の1つに,フィルムの装填があった。
 カートリッジフィルムは,フィルムの装填を容易にした。また,カメラそのものの構造も簡単になり,低価格化にも貢献した。

簡便なカメラが主流

 誰にでも簡単に使えることを目指したカメラであるため,複雑な機能をもたない簡便なカメラが多いことも特徴といえよう。カメラの価格も押さえられており,それに見合って,固定焦点や固定露出のものも多い。
 システムカメラとしては,126カートリッジのINSTAMATIC REFLEXや,110カートリッジのPENTAX AUTO110などがあったが,全体的には高級機があまり登場せず,結果として35mmフィルムに変わって主流の座を占めるには至らなかったようだ。
 IX240フィルムもカートリッジフィルムの一種といえよう。このフィルムを使うカメラ(いわゆるAPS)は高級機も多く発売されたが,ディジタルカメラの普及にともなうようにカメラの製造から撤退するメーカーが相次いだ。そして,販売数量の大幅な低下や生産に必要な材料の入手難などの理由で,フィルムの製造も終了し,メーカー在庫の供給も2011年12月ころに終了する見込みである。

IX240カートリッジフィルム

 1996年に登場した規格。フィルムには磁気記録部があり,コマごとにプリント情報や撮影情報などが記録でき,ラボでのプリントの際にそのデータを活用することができるようになっている。このシステム全体は「アドバンスト・フォト・システム(APS)」とよばれた。
 画面サイズはライカ判の約60%程度にあたる16.7mm×30.2mmである。このサイズはH(ハイビジョン)サイズとよばれる。撮影時に,ライカ判と同様の縦横比になるように左右をトリミングしたCサイズや,いわゆるパノラマサイズになるように天地をトリミングしたP(パノラマ)サイズでプリントするように指定できる機能が準備されている。また,カートリッジを撮影途中に交換できる機能(MRC)も準備されている。ただし,廉価なカメラでは,これらの機能が省略されている場合も多い。
 ニコンやキヤノン,ミノルタなどからは,このフィルムを使用するシステム一眼レフカメラも発売されたが,ディジタルカメラの登場と時期が重なったこともあり,その流行は短期間で終わった。そして,コダックは2010年12月をもって,APSフィルムの製造・販売を終了した。富士フイルムも,在庫かぎりでの販売終了を,2011年7月に発表した。

フジ ネクシアQ1(キューワン)

FUJI / nexia Q1


フジ ネクシア320ixZ

FUJI / nexia 320 ixZ


ミノルタ ベクティス2000

MINOLTA / VECTIS 2000


キヤノン イクシ320

Canon / IXY320


フジ エピオン3000 シューター

FUJI / EPION 3000


ゴコー マクロマックス FR-2200

GOKO / MacromaX FR-2200


ミノルタ ベクティスGX-4 イエローエンジェル

MINOLTA / VECTIS GX-4


キヤノン イクシ

Canon / IXY


フジ エピオン250Z

FUJI / EPION 250Z


ディスクフィルム

 1982年に登場した規格。直径6.5cmで,4×5判シートフィルムのように厚い円盤状のフィルムがケースに入ったもので,フィルムの周囲に15コマが撮影できるようになっている。カメラが非常に薄くなるというメリットがあったものの,8.2mm×10.6mmという小さな画面サイズが災いしたのか,日本国内ではあまり普及することもなく,早くからフィルムの入手が困難になり,現像処理もおこなわれなくなった。また,アメリカでも,1998年末でフィルムの製造が完全に終了した。

コダック ディスク4000

Kodak / disc4000


110カートリッジフィルム

 1971年に登場した規格。カートリッジには,幅16mmで裏紙のついたフィルムが入っており,画面サイズは13mm×17mmである。「ポケットインスタマチック」という名称で発売されたが,後には「ポケットフィルム」「ポケットサイズ」あるいは「ワンテン」とよばれるようになる。レンズ交換の可能なシステム一眼レフから,まさにおもちゃのごときカメラに至るまで,さまざまな種類のカメラが登場して一時はかなり普及したものの,35mm判カメラの小型化が進むと,画質面で不利なためか,次第に使われなくなっていった。富士フイルムは,2009年9月に110フィルムの販売を終了した。コダックもそれ以前に終了している。今後も110カメラを使い続けるには,使用済のカートリッジを確保しておき,120や135フィルムから切り出して巻きなおすなどの自作が必要になる。ただし,こうやって自作したフィルムにはパーフォレーションがないため,本来あったパーフォレーションを巻き止めやシャッターチャージに利用しているタイプのカメラには使用できない。

2012年5月16日に,Lomographyから110フィルムの再生産販売が発表された(Lomography Orca 110 B&W Film)。今後,安定して供給されるかどうかはわからないし,初回生産分については「背面紙がありません」「1コマごとスプールはとまらない」とのことで,本来あるべき裏紙やパーフォレーションがないようである。このままでは使えるカメラがかなり限定されるが,今後の展開が期待される。

ペンタックス オート110システム

ペンタックス オート110 (ワンテン)

PENTAX / auto110


オート110用広角レンズ 18mm F2.8

PENTAX / PENTAX-110 18mm F2.8


オート110用望遠レンズ 50mm F2.8

PENTAX / PENTAX-110 50mm F2.8


その他のポケットカメラ(1980年〜)

イキモノシリーズ ハリネズミカメラ

(unknown) / HARINEZUMI camera

(「おもちゃカメラ」のページへ移動します。)

ベルリーザ110

WERLISA / WERLISA 110


ナショナル ラジカメC-R3

National / Radicame C-R3


コダック エクトラ200

Kodak / EKTRA200


その他のポケットカメラ(〜1980年)

ポケットフジカフラッシュAW

FUJI / Pocket FUJICA Flash AW


ポケットフジカ350フラッシュ

FUJI / Pocket FUJICA 350 Flash


サンパック SP-1000

SUNPAK / SP-1000


ポケットフジカ350ズーム

FUJI / Pocket FUJICA 350 Zoom


キヤノン 110ED

Canon / 110ED


ミノルタ ポケットオートパック70

MINOLTA / POCKET AUTOPAK 70


126カートリッジフィルム

 1963年に登場した規格で,「インスタマチック」とよばれた。カートリッジには,幅35mmで裏紙のついたフィルムが入っており,画面サイズは26mm×26mmである。一時は,レンズ交換可能なシステム一眼レフカメラから簡便なカメラまで,多くのラインアップがそろっていた。しかしながら,フィルム装填こそ簡単になったものの,カメラ全体の小型化に貢献したとは言い難いせいか,さらに小型の110カートリッジフィルムが登場すると,急速に使われなくなったようである。コダックでは,1999年末をもって,フィルムの販売が終了した。

コダック インスタマチックレフレックス

Kodak / INTAMATIC REFLEX


コダック インスタマチック25

Kodak / INSTAMATIC25


ハリーナC1

Halina / C1


16mmカートリッジフィルム

 幅16mmのフィルムがカートリッジにはいったもので,ミゼット判とよばれる画面サイズが10mm×14mmのフィルムを使用するカメラと,クォーターサイズとよばれる画面サイズが12mm×17mmのフィルムを使用するカメラとが,一般的に16ミリカメラとして扱われているようである。いずれの規格のフィルムも,すでに製造されていない。

ミノルタ16PS

Minolta / 16PS


ミノックスフィルム

  超小型カメラとして有名なミノックス用のフィルムで,幅9.5mmのフィルムがカートリッジにはいっており,画面サイズは8mm×11mmとして使用する。
 近年までは,「アクメル」(キング,浅沼商会)ブランドでフィルムが発売されていたが,最近(2011年)は「シャラン」のブランドで,モノクロネガフィルムやカラーネガフィルムが売られている。
 

アクメルMD

KING / ACMEL MD


ヤシカ アトロン

YASHICA / ATORON