ペンタックス

オート110 (ワンテン)

PENTAX / auto110

 レンズ交換が可能な110判システム一眼レフカメラである。発売当初から,広角18mm,標準24mm,望遠50mmの3本の交換レンズとワインダー,フラッシュが用意された。交換レンズのラインアップは後に,広角18mmパンフォーカス,ズーム20〜40mm,望遠70mmが加わっている。絞りと兼用のシャッターがボディ側に最前面にある,ビハインドレンズシャッターとなっている。そのため,レンズには絞りがなく,交換レンズはすべて,開放F値がF2.8に統一されている。20〜40mmのズームレンズはたとえ110判ではあっても,開放F値がF2.8で一定であることが地味に注目されていたようである。
 レバー2回巻き上げのフィルム送り(後継機 PENTAX auto110 Super ではレバー1回巻き上げに改良された),露出補正もないプログラムAE専用という仕様には不満もあるが,まさにポケットサイズの一眼レフカメラは,撮影領域を無限に広げてくれるような「夢」を与えてくれるのである。

PENTAX auto110, Body No.1310079
マウントオート110専用バヨネットマウント
露出プログラムAE F2.8 1秒〜F13.5 1/750秒
露出計中央部重点TTL開放測光,イエローのLED点灯で手ブレ警告
使用フィルム110カートリッジ
発売1979年3月 (日本カメラ「カメラ年鑑1981年」による)

 auto110の魅力は,それが一眼レフカメラであることだ。一眼レフカメラは,フィルムに写る像を,可動ミラーによってファインダーに導くしくみをもつ。このしくみによって,フィルムに写る像と同じ像を,ファインダーで確認できるという大きなメリットがある。撮影レンズを望遠レンズや広角レンズに交換すれば,それに応じた像をファインダーで確認できるわけだ。そのため,交換レンズが重要なアピールポイントになる。

広角レンズ 望遠レンズ
PENTAX-110 18mm F2.8 PENTAX-110 50mm F2.8
 auto110のボディはたいへん小さく,その軍艦部にアクセサリシューを設けることができそうにない。そのためかauto110には汎用のX接点やホットシューがなく,フラッシュ撮影をおこなうには専用のフラッシュが必要になる。専用のフラッシュは,最大GN10のAF100Pと,GN13のAF130Pの2種類があった。やや小型のAF100Pは単4乾電池2本で使用し,AF130Pは単3乾電池2本で使用する。右の画像は,AF130Pを装着した状態。
 auto110には,電動ワインダー(110 WINDER)も用意されていた。auto110はレバー2回操作で1コマ巻き上げられることになるので,巻き上げが電動になると速写性が大きく増す。ただしワインダー使用時の巻き止めは,フィルムのパーフォレーションによって検知するため,切り出して巻き直した自作フィルムではワインダーを使用できない(巻き上げが止まらない)。
 右の画像は,110 WINDERとAF130Pとを装着した状態。
 手が大きい人にとっては,ワインダーをつけておいたほうがカメラをホールディングしやすいかもしれないから,そういう意味でも入手しておきたいオプション品だ。