オリンパス

CAMEDIA C-1400L

OLYMPUS / C-1400L

 141万画素ディジタルカメラ。ズームレンズ一体型フルオート一眼レフカメラとして定評のある,OLYMPUS L-1にはじまるオリンパスLシリーズに似たL型ボディに準じた独特のフォルムは,たいへん使いやすくできている。
 発売当時,一般用としては唯一の一眼レフ式光学系を採用したディジタルカメラであった。「画質などの基本性能だけを重視した」とメーカーが謳っているだけあって,業務用とされている機種を除けば,当時最高の性能であったといえる。
 背面にLCDがあるが,撮影後の確認と記録画像の再生にしか使えない。撮影は,光学ファインダーを通してのみおこなうことになる。一眼レフ式のため,フィルタワークなど応用範囲は広い。ホワイトバランス,露出,ピントなど,マニュアル調整ができないことは不満ではあるが,作品づくりを狙える最低限の性能をもっている。
 電源は,汎用性の高い単3乾電池4本を使用する。実際に使ってみると,電池の消費が非常に激しいという印象を受けるだろう。なお,記録メディアはスマートメディアで,8MB以下のものにのみ対応している(メーカー改造で32MBに対応できるようにするサービスがあった)。なお,8MBのスマートメディアでは141万画素の画像は8コマ程度しか保存できず,多数の記録メディアを頻繁に交換する必要が生じることから,フィルムカメラにくらべて使いにくいという印象をもつことにつながる。

OLYMPUS CAMEDIA C-1400L, Body No. 2028876
撮像素子タイプ1/1.5型 正方画素CCD 原色フィルタ 撮像素子画素数141万画素
記録画素数最大 1280ピクセル×1024ピクセル
撮影レンズ9.2〜28mm F2.8〜3.9
シャッター速度1/4〜1/10000秒 絞り開放および2絞り分の2段階
ピント調節TTLコントラスト検出AF 0.6m〜∞ (マクロモード0.3m〜0.6m)
記録メディア3.3Vスマートメディア
電源単3乾電池 4本
発売1997年10月

 OLYMPUS C-1400Lが発売された当時,一眼レフディジタルカメラとしては,コダックや富士フイルムの製品が業務用として流通していた。その価格は一般の人が趣味で使うために購入するにはいささか敷居が高いもので,たとえば1994年に発売された600万画素のディジタル一眼レフカメラKodak DCS 460は本体のみで349万円というものであった。1996年に発売された130万画素のディジタル一眼レフカメラFUJIX DS-505aは安くなったといっても89万円である。OLYMPUS C-1400Lの価格は128,000円であり,まさに一般向けとしてはじめてのディジタル一眼レフカメラだったのである。

OLYMPUS C-1400L, 9.2〜28mm F2.8〜3.9

マクロモードで接写も可能。鏡胴先端にはネジも切ってある(43mm)ので,クローズアップレンズなどのフィルタも利用しやすい。

OLYMPUS C-1400L, 9.2〜28mm F2.8〜3.9

レンズの焦点距離がきわめて短いせいか,広角側での歪曲は気になるレベルである。


 OLYMPUS C-1400Lで撮影できる画像は,L判程度のプリントに用いるのであれば,じゅうぶんに実用的である。また,パソコンのディスプレイに表示する画像をつくるにも,じゅうぶんな性能をもっている。しかしながらOLYMPUS C-1400Lは,日付を2016年までしか設定できない。2017年1月1日以降は,撮影された画像のタイムスタンプを適宜,読みかえる必要が生じることになった。メーカーさんのほうでは,OLYMPUS C-1400Lを20年以上も使う人はいないだろうと想定していたのだろうか。もったいない話である。

OLYMPUS C-1400Lでは,日付を「97年」から「16年」までしか設定できない。

 のちの時代に,いわゆる「ミラーレス」カメラが広まったことからもわかるように,ディジタルカメラは液晶モニタをファインダーにできるから,一眼レフ方式である必要はないのである。ただ,この当時はまだ,液晶モニタや画像処理ソフトウェアの性能がいまひとつものたりず,速く動く被写体を追うのに余裕がないという問題があった。また,常時,液晶モニタをONにすることによって,バッテリーが激しく消費されるという点も,問題であった。だからこそ,このころはどんな形であっても「一眼レフ形式」が望まれていた,と考えることもできるだろう(少なくとも,わたしはそれに期待していた)。