1991年にコダックから,世界ではじめてとされるディジタル一眼レフカメラKodak DCSが発売された。Nikon F3を利用したもので,そこにディジタルバックや画像処理システムを組みあわせたような製品であり,撮像素子は130万画素クラスのものであった。カラーモデル(Kodak DCS DC3)とモノクロモデル(Kodak DCS DM3)があり,バッファメモリが32MBのバージョン(普通バージョンは8MB)のものもあった。 翌1992年には,Nikon F-801に,150万画素クラスの撮像素子を用いたディジタルバックを組みあわせたKodak DCS 200が発売された。これは,はじめての一体型ディジタル一眼レフカメラとなった。なお,Kodak DCS 200の発売後,Kodak DCS DC3 /DM3は,Kodak DCS 100とよばれるようになった。Kodak DCS 100という呼び方は非公式のものであるが,Kodak内でも使われるようになったとのことである。 1994年には,Nikon F90 (実際には輸出仕様のNikon N90)シリーズを利用して,ディジタルバックを組みあわせてディジタル一眼レフカメラを形づくるKodak DCS400シリーズが発売された。このうちKodak DCS460cは,Nikon N90s (日本仕様ではNikon F90X)に600万画素クラスで27.6mm×18.4mm (いわゆるAPS-Hサイズ…ただし本来のAPS-Hサイズとはまったく関係ない)の撮像素子を用いたディジタルバックを組みあわせたモデルで,当時のディジタル一眼レフカメラとして最高の性能を誇るものとなった。Kodak DCS460のバリエーションとして,カラー撮影用のDCS460cのほか,モノクロ撮影用のもの(DCS460m)や赤外線撮影用のもの(DCS460ir)などもあった。ここではもっとも一般向けと考えられる,DCS460cだけをKodak DCS460として取り上げるものとする。 ここで「一般向けと考えられる」という表現を使ったが,Kodak DCS 460は実際には「一般向け」とは言い難い製品である。最大の要因は,その販売価格にある。KodakのWebサイトに記載されていた日本国内での販売価格は,349万円というものだった。そこに,記録メディア(170MBのPCカード型ハードディスクが標準的な記録メディアだったようである)や,画像を処理するためのパーソナルコンピュータなどを含めると,トータルで400万円から500万円になる。Kodak DCS460の発売は1994年であり,画像を扱いやすいパーソナルコンピュータが一般に普及したのは1995年のWindows95発売以降のことと考えられる。Kodak DCS460発売当時に導入を考えるなら,パーソナルコンピュータをあらたに購入することも無視できない要素だっただろう。
Kodak DCS460で撮影した画像は,1画像あたり約6MBの.tif形式で保存される。画像の大きさは3060ピクセル×2040ピクセルで,大きさや圧縮率などの変更はできない。このファイルには,サムネイル用のモノクロ画像も含まれる。対応していない画像ソフトで開くと,このモノクロ画像だけが開くので,注意が必要である。 撮影操作は,基本的にNikon F90そのものである。感度はISO 80に固定されており,色温度を選択する項目もない。自動ホワイトバランス調整も,おこなわれていないようである。カメラ本体の電源スイッチをONにすると,ディジタル回路もONになる。カメラ本体の電源スイッチをOFFにすると,やや遅れてディジタル回路もOFFになる。背面には,撮影可能枚数とバッテリ残量を表示するための小さな液晶ディスプレイがあるのみで,撮影画像を確認するための液晶モニタはない。撮影したら記録メディアを抜いてパーソナルコンピュータに転送しなければ,撮影した画像を確認できない。そういう意味では,感覚的にはフィルムでの撮影と同じことになる。一方で,背面のSCSI端子でパーソナルコンピュータと接続すれば,撮影した画像をそのままパーソナルコンピュータに保存できる。スタジオでの撮影であれば,ディジタルカメラならではのすぐに画像を確認できるという撮り方もできるようだ。
Kodak DCS 460には,充電式電池が内蔵されている。バッテリーパックになっているわけではなく,交換はできない。充電は,背面の端子にバッテリーチャージャを接続しておこなう。内蔵されていた電池が劣化して充電できなくなると,バッテリーチャージャを接続しても,正常に動作しないようだ。 入手時に,内蔵の電池が劣化していたので,ノートパソコン(TOSHIBA Libretto20)のバッテリーパックのなかみを利用して,バッテリーを交換した。そのため現在は,TOSHIBA Libretto20の充電器を利用して充電するようになっている。本来の電池の性能はわからないが,交換したこのバッテリでは,フル充電後におよそ100コマの撮影が可能である。連写は2コマまでで,画像の記録には1コマあたり数10秒かかる。1コマ1コマじっくりと撮ることになるので,そういう面からも,ディジタルカメラというよりフィルムカメラの感覚で撮ることになる。
撮影した画像は調整方法にもよるのだが,どことなくEktachromeで撮った画像に雰囲気が似ているように感じた。600万画素ではあるが,撮像素子がいわゆるAPS-Cサイズより大きいせいか,なめらかでゆとりがあるように感じる画像が得られる。このクラスの撮像素子は「APS-Hサイズ」とよばれることがあるが,本来のAPS-Hサイズとはまったく関連がない。APS-Cより大きいがライカ判より小さいフォーマットであること,面積が似ていることからこじつけられたものだろう。本来のAPS-Hサイズはずいぶんと長細いものであり,縦横比がまったく異なるものである。
Kodak DCS460は,Nikon F90のボディに,ディジタルバックを組みあわせたものである。したがって,Kodak DCS460のカメラ部を取り外し,通常の裏蓋と電池ボックスを取りつければ,ふつうのNikon F90として使うことができる。また,もともとは輸出仕様のNikon N90sが使われているが,これを日本国内向けのNikon F90Xに取りかえることも可能である。 Kodak DCS460の撮像素子は,ライカ判より小さないわゆるAPS-Hサイズであるため,ファインダーは実際に写る範囲よりも広い範囲が見えている。そこでKodak DCS460に使われているボディでは,ファインダースクリーンに写る範囲を示す黒枠が引かれている。ボディを交換した場合には,ファインダースクリーンも交換するようにしよう。
DCS 400シリーズには,150万画素クラスの撮像素子を用いたDCS 420,その廉価版のDCS 410,報道機関向けのNC2000などのバリエーションもある。
初期のKodak DCS 420 / 460では,内蔵バッテリーに不具合があり,無償で交換する措置がとられたことがある(*2)。このとき交換対象になったものは発表されたシリアルナンバーから,Kodak DCS 420C(カラーモデル)が約3400台,DCS 420M(モノクロモデル)が約100台,DCS 420IR(赤外線モデル)が約30台,DCS 460Cが約300台となっている。実際に販売された台数は,この数倍程度以上あると考えられるので,シリーズ全体としては15000台くらいは発売されたのではないだろうか。インターネットオークションなどでは,しばしば「激レア品」として紹介されるシリーズだが,シリーズ全体としてはさほどレアな存在ではないといえる。ただ,モノクロモデルや赤外線モデルは,無償交換対象になったものと変わらない比率で出回ったとすると,量としてはごく少ないだろう。
*1 https://dl.ndl.go.jp/pid/1833411/1/65 「X Conscious(エクス・コンシャス 生活意識と商品開発)」Vol.1 No.5(1995年5月15日発行,日本能率協会総合研究所)※国立国会図書館デジタルコレクションより
*2 https://web.archive.org/web/19970525140536/http://www.kodak.co.jp/KPD/6p112400.shtml 「プロフェッショナルデジタルカメラのバッテリーパック無償交換のご案内」(日本コダック株式会社 プロフェッショナル事業部,1997年1月※Internet Archivesより
DCS 400シリーズのシリアルナンバーを収集している。観察されたナンバー,情報提供いただいたナンバーがあれば,ここに追記する。
NC2000シリーズは,AP通信向けの製品。シリアルナンバーのある底面プレートには,「News Camera 2000e-c」「Build for AP」のような記載がある。
コダックDCSの設計にかかわった Jim McGarvey (*3)氏の " The DCS Story " を参照すると,DCS 400シリーズには,アメリカ政府機関などによる特注品も存在することがわかる。ごく稀に,e-Bayなどで見られることがある。
コダックDCSには,CanonのEOSシステムを利用したものもあった。Kodak DCS 400シリーズに相当するものとしては,EOS・DCS 1(DCS 460に相当),EOS・DCS 3(NC2000に相当),EOS・DCS 5(DCS 420に相当)があった。シリアルナンバーを記した底面のプレートのデザインや記載内容にバリエーションがあるのは,Kodakから発売されたものとCanonから発売されたものとの区別ができるポイントとなる。シリアルナンバーの冒頭にKがあるものがKodakから発売されたもの,CがあるものがCanonから発売されたものとなる。 キヤノン・カメラミュージアムでは,EOS・DCS 1とEOS・DCS 3が紹介されているが,EOS・DCS 5は紹介されていない。日本カメラ「カメラ年鑑」において,キヤノンが発売したものとしてEOS・DCS 1とEOS・DCS 3だけを取りあげていることと整合する。日本カメラ「カメラ年鑑」では,コダックが発売したものとしてはEOS・DCS 1とEOS・DCS 5だけを取りあげているので少なくとも日本国内ではKodak銘のモデルはEOS・DCS 1とEOS・DCS 5だけが発売されたものと考えられるが,実際にはKodakから発売されたと考えられるEOS・DCS 3も存在するので,たとえば海外などでは発売されていたのかもしれない。
参考として,そのほかのDCSシリーズのシリアルナンバーを収集。
*3 http://resume.jemcgarvey.com/ (InternetArchivesのデータ) James McGarvey
1999年にNikon D1が発売されたあと,デジタル一眼レフカメラは幅広い層のユーザに使われるようになった。雑誌で取りあげられることも多く,一般向けに機種別の参考書がいろいろ発売されている。しかし,それ以前の機種については,広く知られる機会があまりない。Nikon D1より前に発売された機種の1つであるKodak DCS 460は,はじめて600万画素級の撮像素子を搭載して市販された,デジタル一眼レフカメラである。デジタルカメラの歴史において重要な1台と考えているが,この機種を単独で扱っている日本語の書籍を見かけないので,1つの冊子という形でまとめて記録として残すことにしたものである。(2021年6月発行)
購入する
1991年にコダックから,世界ではじめてとされるディジタル一眼レフカメラKodak DCSが発売された。Nikon F3を利用したもので,そこにディジタルバックや画像処理システムを組みあわせたような製品であり,撮像素子は130万画素クラスのものであった。カラーモデル(Kodak DCS DC3)とモノクロモデル(Kodak DCS DM3)があり,バッファメモリが32MBのバージョン(普通バージョンは8MB)のものもあった。
翌1992年には,Nikon F-801に,150万画素クラスの撮像素子を用いたディジタルバックを組みあわせたKodak DCS 200が発売された。これは,はじめての一体型ディジタル一眼レフカメラとなった。なお,Kodak DCS 200の発売後,Kodak DCS DC3 /DM3は,Kodak DCS 100とよばれるようになった。Kodak DCS 100という呼び方は非公式のものであるが,Kodak内でも使われるようになったとのことである。
1994年には,Nikon F90 (実際には輸出仕様のNikon N90)シリーズを利用して,ディジタルバックを組みあわせてディジタル一眼レフカメラを形づくるKodak DCS400シリーズが発売された。このうちKodak DCS460cは,Nikon N90s (日本仕様ではNikon F90X)に600万画素クラスで27.6mm×18.4mm (いわゆるAPS-Hサイズ…ただし本来のAPS-Hサイズとはまったく関係ない)の撮像素子を用いたディジタルバックを組みあわせたモデルで,当時のディジタル一眼レフカメラとして最高の性能を誇るものとなった。Kodak DCS460のバリエーションとして,カラー撮影用のDCS460cのほか,モノクロ撮影用のもの(DCS460m)や赤外線撮影用のもの(DCS460ir)などもあった。ここではもっとも一般向けと考えられる,DCS460cだけをKodak DCS460として取り上げるものとする。
ここで「一般向けと考えられる」という表現を使ったが,Kodak DCS 460は実際には「一般向け」とは言い難い製品である。最大の要因は,その販売価格にある。KodakのWebサイトに記載されていた日本国内での販売価格は,349万円というものだった。そこに,記録メディア(170MBのPCカード型ハードディスクが標準的な記録メディアだったようである)や,画像を処理するためのパーソナルコンピュータなどを含めると,トータルで400万円から500万円になる。Kodak DCS460の発売は1994年であり,画像を扱いやすいパーソナルコンピュータが一般に普及したのは1995年のWindows95発売以降のことと考えられる。Kodak DCS460発売当時に導入を考えるなら,パーソナルコンピュータをあらたに購入することも無視できない要素だっただろう。
Kodak DCS460で撮影した画像は,1画像あたり約6MBの.tif形式で保存される。画像の大きさは3060ピクセル×2040ピクセルで,大きさや圧縮率などの変更はできない。このファイルには,サムネイル用のモノクロ画像も含まれる。対応していない画像ソフトで開くと,このモノクロ画像だけが開くので,注意が必要である。
撮影操作は,基本的にNikon F90そのものである。感度はISO 80に固定されており,色温度を選択する項目もない。自動ホワイトバランス調整も,おこなわれていないようである。カメラ本体の電源スイッチをONにすると,ディジタル回路もONになる。カメラ本体の電源スイッチをOFFにすると,やや遅れてディジタル回路もOFFになる。背面には,撮影可能枚数とバッテリ残量を表示するための小さな液晶ディスプレイがあるのみで,撮影画像を確認するための液晶モニタはない。撮影したら記録メディアを抜いてパーソナルコンピュータに転送しなければ,撮影した画像を確認できない。そういう意味では,感覚的にはフィルムでの撮影と同じことになる。一方で,背面のSCSI端子でパーソナルコンピュータと接続すれば,撮影した画像をそのままパーソナルコンピュータに保存できる。スタジオでの撮影であれば,ディジタルカメラならではのすぐに画像を確認できるという撮り方もできるようだ。
Kodak DCS 460には,充電式電池が内蔵されている。バッテリーパックになっているわけではなく,交換はできない。充電は,背面の端子にバッテリーチャージャを接続しておこなう。内蔵されていた電池が劣化して充電できなくなると,バッテリーチャージャを接続しても,正常に動作しないようだ。
入手時に,内蔵の電池が劣化していたので,ノートパソコン(TOSHIBA Libretto20)のバッテリーパックのなかみを利用して,バッテリーを交換した。そのため現在は,TOSHIBA Libretto20の充電器を利用して充電するようになっている。本来の電池の性能はわからないが,交換したこのバッテリでは,フル充電後におよそ100コマの撮影が可能である。連写は2コマまでで,画像の記録には1コマあたり数10秒かかる。1コマ1コマじっくりと撮ることになるので,そういう面からも,ディジタルカメラというよりフィルムカメラの感覚で撮ることになる。
撮影した画像は調整方法にもよるのだが,どことなくEktachromeで撮った画像に雰囲気が似ているように感じた。600万画素ではあるが,撮像素子がいわゆるAPS-Cサイズより大きいせいか,なめらかでゆとりがあるように感じる画像が得られる。このクラスの撮像素子は「APS-Hサイズ」とよばれることがあるが,本来のAPS-Hサイズとはまったく関連がない。APS-Cより大きいがライカ判より小さいフォーマットであること,面積が似ていることからこじつけられたものだろう。本来のAPS-Hサイズはずいぶんと長細いものであり,縦横比がまったく異なるものである。
Kodak DCS460は,Nikon F90のボディに,ディジタルバックを組みあわせたものである。したがって,Kodak DCS460のカメラ部を取り外し,通常の裏蓋と電池ボックスを取りつければ,ふつうのNikon F90として使うことができる。また,もともとは輸出仕様のNikon N90sが使われているが,これを日本国内向けのNikon F90Xに取りかえることも可能である。
Kodak DCS460の撮像素子は,ライカ判より小さないわゆるAPS-Hサイズであるため,ファインダーは実際に写る範囲よりも広い範囲が見えている。そこでKodak DCS460に使われているボディでは,ファインダースクリーンに写る範囲を示す黒枠が引かれている。ボディを交換した場合には,ファインダースクリーンも交換するようにしよう。
DCS 400シリーズには,150万画素クラスの撮像素子を用いたDCS 420,その廉価版のDCS 410,報道機関向けのNC2000などのバリエーションもある。
初期のKodak DCS 420 / 460では,内蔵バッテリーに不具合があり,無償で交換する措置がとられたことがある(*2)。このとき交換対象になったものは発表されたシリアルナンバーから,Kodak DCS 420C(カラーモデル)が約3400台,DCS 420M(モノクロモデル)が約100台,DCS 420IR(赤外線モデル)が約30台,DCS 460Cが約300台となっている。実際に販売された台数は,この数倍程度以上あると考えられるので,シリーズ全体としては15000台くらいは発売されたのではないだろうか。インターネットオークションなどでは,しばしば「激レア品」として紹介されるシリーズだが,シリーズ全体としてはさほどレアな存在ではないといえる。ただ,モノクロモデルや赤外線モデルは,無償交換対象になったものと変わらない比率で出回ったとすると,量としてはごく少ないだろう。
*1 https://dl.ndl.go.jp/pid/1833411/1/65
「X Conscious(エクス・コンシャス 生活意識と商品開発)」Vol.1 No.5(1995年5月15日発行,日本能率協会総合研究所)
※国立国会図書館デジタルコレクションより
*2 https://web.archive.org/web/19970525140536/http://www.kodak.co.jp/KPD/6p112400.shtml
「プロフェッショナルデジタルカメラのバッテリーパック無償交換のご案内」(日本コダック株式会社 プロフェッショナル事業部,1997年1月
※Internet Archivesより
DCS 400シリーズのシリアルナンバーを収集している。観察されたナンバー,情報提供いただいたナンバーがあれば,ここに追記する。
組み合わせのカメラはN90(前期用)
組み合わせのカメラはN90s(後期用)
よる報告
NC2000シリーズは,AP通信向けの製品。シリアルナンバーのある底面プレートには,「News Camera 2000e-c」「Build for AP」のような記載がある。
右下は,だ円のなかに「Build for AP」
底面の記載は「News Camera 2000e-c」
右下は,長方形のなかに「BUILD FOR AP」
底面の記載は「News Camera 2000e-c」
右下は,長方形のなかに「Kodak In Cooperation with AP」
底面の記載は「Kodak Digital Science Professional News Camera 2000e-c」
右下は,長方形のなかに「Kodak In Cooperation with AP」
底面の記載は「Kodak Digital Science Professional News Camera 2000e-c」
コダックDCSの設計にかかわった Jim McGarvey (*3)氏の " The DCS Story " を参照すると,DCS 400シリーズには,アメリカ政府機関などによる特注品も存在することがわかる。ごく稀に,e-Bayなどで見られることがある。
ボディ表記「DCS CIR」
2021年3月19日に目撃
ボディ表記「DCS CIR」
2021年9月2日に目撃
コダックDCSには,CanonのEOSシステムを利用したものもあった。Kodak DCS 400シリーズに相当するものとしては,EOS・DCS 1(DCS 460に相当),EOS・DCS 3(NC2000に相当),EOS・DCS 5(DCS 420に相当)があった。シリアルナンバーを記した底面のプレートのデザインや記載内容にバリエーションがあるのは,Kodakから発売されたものとCanonから発売されたものとの区別ができるポイントとなる。シリアルナンバーの冒頭にKがあるものがKodakから発売されたもの,CがあるものがCanonから発売されたものとなる。
キヤノン・カメラミュージアムでは,EOS・DCS 1とEOS・DCS 3が紹介されているが,EOS・DCS 5は紹介されていない。日本カメラ「カメラ年鑑」において,キヤノンが発売したものとしてEOS・DCS 1とEOS・DCS 3だけを取りあげていることと整合する。日本カメラ「カメラ年鑑」では,コダックが発売したものとしてはEOS・DCS 1とEOS・DCS 5だけを取りあげているので少なくとも日本国内ではKodak銘のモデルはEOS・DCS 1とEOS・DCS 5だけが発売されたものと考えられるが,実際にはKodakから発売されたと考えられるEOS・DCS 3も存在するので,たとえば海外などでは発売されていたのかもしれない。
EOS・DCS 1c Camera
EOS・DCS 3c Camera
よる報告
参考として,そのほかのDCSシリーズのシリアルナンバーを収集。
よる報告
*3 http://resume.jemcgarvey.com/ (InternetArchivesのデータ)
James McGarvey
Kodak DCS 460/420 ハンドブック
1999年にNikon D1が発売されたあと,デジタル一眼レフカメラは幅広い層のユーザに使われるようになった。雑誌で取りあげられることも多く,一般向けに機種別の参考書がいろいろ発売されている。しかし,それ以前の機種については,広く知られる機会があまりない。Nikon D1より前に発売された機種の1つであるKodak DCS 460は,はじめて600万画素級の撮像素子を搭載して市販された,デジタル一眼レフカメラである。デジタルカメラの歴史において重要な1台と考えているが,この機種を単独で扱っている日本語の書籍を見かけないので,1つの冊子という形でまとめて記録として残すことにしたものである。(2021年6月発行)
A5判,32ページ(カラー) 価格 700円
購入する