リコー

DC-2

RICOH / DC-2 (DC-2L)

 RICOH DC-2の大きな特徴として,オプション品として用意された専用の液晶モニタDM-2を一体化できるという点がある。そして,ノートパソコンのように液晶モニタを開いて,そこに映し出される映像を見ながらの撮影ができるようになっている。フィルムを使うカメラでは実現できない,デジタルカメラならではのスタイルである。このスタイルは,のちのRICOH DC-3RICOH DC-3Zなどにも引き継がれていった。RICOH DC-2は本体のみで販売される場合のほか,RICOH DC-2Lとして,液晶モニタDM-2をセットにしたパッケージとしても販売された。
 撮像素子は41万画素のものが使われており,撮影レンズは,広角と標準(ライカ判での35mmレンズおよび55mmレンズに相当する範囲が写る)に切り替えのできる,2焦点式のものになっている。ピント調整はオートフォーカスだが,マニュアル操作でレンズ面の手前約1cmまでの接写も可能になっている。

RICOH DC-2, Body No.142594
撮像素子タイプ1/4型 CCD 撮像素子画素数41万画素
記録画素数最大 640ピクセル×480ピクセル
撮影レンズ3.7mm/5.6mm F2.0/2焦点切り替え
ピント調節オートフォーカス
接写:1cm〜60cm(マニュアルフォーカス)
記録メディア内蔵メモリ (2MB),PCMCIAメモリカード
電源単3乾電池 4本
発売1996年6月

 RICOH DC-2の撮影レンズは,3.7mmと5.6mmに切り替えられる,2焦点式になっている。3.7mmのときに写る範囲は,ライカ判で35mmレンズを使用するときに相当する広さになるが,ライカ判にくらべて縦横比が小さいので,ワイド感はあまり得られない。

RICOH DC-2 (wide)

RICOH DC-2 (tele)

 RICOH DC-2で特筆されるものは,最短撮影距離がレンズから約1cmの接写機能である。0.6m〜∞の範囲はオートフォーカスであるが,レンズ上部にあるダイアルを動かすことで,1cm〜0.6mの範囲をマニュアルフォーカスでピント調整できる。LCDを見ながらの撮影となるので,のちの時代の,チルト液晶を備えたレンズ交換式「ミラーレス」カメラにも通じる操作性といえるだろう。

RICOH DC-2

RICOH DC-2

 撮影した画像は,PCカード型のメモリカードに記録される。記録される画像のファイルは,独自の.j6i形式というものになっているので,.jpgファイルなどに変換するためのツールが必要である。リコーから提供されていたし,フリーソフトとして流通するツールもいろいろあるが,古い時代のソフトウェアであり,Windows 10(64bit)の環境では動作しないものもある。確認した範囲では,つぎのようになる。
 
【.j6iファイルが開かない】
 ・AFFINITY PHOTO
 ・Raw Therapee
 ・Adobe Photoshop
 ・GIMP
 ・Irfan View
 
【.j6iファイルを開き.jpgで保存できる】
 ・ViX

 液晶モニタDM-2は,オプション品である。これをはずすと,カメラはずいぶんと薄くなる。液晶表示の応答は遅く,明るいところでは見えにくく,さらに電池の消耗も激しい。そのため,日中屋外の撮影で,接写をする予定もないのなら,液晶モニタをはずして本体のビューファインダーで撮影するというのも,当時としては現実的な選択肢であった。