ニコン

D1

Nikon / D1

 ニコンFマウントの交換レンズを使えるディジタル一眼レフカメラとしては,1991年に発売されたKodak DCS (DCS100)がさいしょのものとなる。コダックのDCSシリーズは,フィルムを使うニコンの一眼レフカメラに,コダックのディジタルバックを組みあわせた製品であった。このころ,フィルムと同等の結果を得るには,撮像素子は600万画素のものが必要だと言われていたが,Kodak DCS (DCS100)の撮像素子は130万画素級のものだった。1994年に発売されたKodak DCS460では撮像素子が600万画素のものになり,ようやくディジタル一眼レフカメラがフィルムの一眼レフカメラに追いついたといえる。
 一方,フジは1995年から,ニコンと共同で開発したフジックスDSシリーズのディジタル一眼レフカメラを発売した。このディジタル一眼レフカメラは,ニコンではEシリーズとよばれた。たとえば,フジから発売されたFUJIX DS-505Aは,ニコンからはNikon E2Nという名称で発売された。これらの撮像素子は130万画素級のものにすぎないが,商業写真の分野において一定の評価が得られていた。

 ここまでは,ニコンFマウントのレンズが使えるディジタル一眼レフカメラといっても,あくまでもコダックの製品であり,フジとニコンのダブルネームの製品である。ニコンが独自に発売したディジタル一眼レフカメラとしては,1999年に発売された「ニコンD1」がさいしょのものである。
 Nikon D1の撮像素子は,1000万画素級のものである。しかし,Nikon D1では,4画素を1画素として扱うことで,高感度と高画質をめざした。そのため,得られる画像は260万画素級のものになる。画素数だけで見ると少し物足りなく感じるが,実際にせいぜいカビネサイズでプリントしたものを見ると,フィルムと変わらぬ,なめらかで自然な写真になっていた。
 撮像素子の大きさはいわゆるAPS-Cサイズであり,ファインダーを覗くと視野は狭く感じる。しかしながらNikon D1のボディは,Nikon F100くらいに相当するもののようで,ファインダーの見え具合はすこぶる良好である。本体を手にしたときの印象も,高級感があってよい。
 Nikon D1ボディは,65万円で発売された。それまでのコダックやフジのディジタル一眼レフカメラが,のきなみ100万円弱〜数100万円だったことにくらべれば,当時としては画期的な低価格であった。結果として,Nikon D1は業務用として広く普及し,のちにさらなる低価格機の発売へつながることになる。

Nikon D1 No.5018781
撮像素子タイプ23.7mm×15.6mm(APS-Cサイズ)CCD,原色フィルタ 撮像素子画素数266万画素
記録画素数2000ピクセル×1312ピクセル
レンズニコンFマウント
シャッター速度B, 30〜1/16000秒 露出マルチモードAE
記録メディアコンパクトフラッシュ
電源バッテリーパック EN-4
発売1999年9月