ニコン

F50

Nikon / F50

 ニコンのオートフォーカス一眼レフカメラにおいて,エントリーモデルに位置づけられる機種である。ニコンのオートフォーカス一眼レフカメラは,Nikon F90の登場によって,F-501AFにはじまる「3桁シリーズ」から「2桁シリーズ」に全面的にモデルチェンジとなった。「3桁シリーズ」では,「マルチパターン測光(多分割評価測光)」が特徴の1つになっていた(F-501AF,F-301を除く)が,「2桁シリーズ」ではそこに距離情報を加味した「3Dマルチパターン測光」に機能アップされている。「2桁シリーズ」の最下位に位置づけられるF50でも,Dタイプ(以降)のレンズを使用すれば,3Dマルチパターン測光が利用できる。
 F50では,「3桁シリーズ」のエントリーモデルであるF-401シリーズ(F-401F-401sF-401x)と同様に,マニュアルフォーカスレンズを装着できるが,露出計が動作しない仕様になっている。また,F90,F70F90xなどの上位機種では,本体のダイアルでシャッター速度を設定し,絞り値はレンズのリングで設定するというユーザインタフェースであるのに対して,F-401シリーズと同様にシャッター速度も絞り値もカメラ本体で設定するようになっている。
 F50では,そのユーザインタフェースに大きな特徴がある。F-401シリーズでは,本体上面に設けられた2つのダイアルで,それぞれシャッター速度と絞り値とを設定する。それに対してF50Dでは,本体上面のボタンで設定するようになっている。従来のニコンの一眼レフとはまったく異なるユーザインタフェースであるため,使うにあたっては大いに違和感がある。しかし,F70とは違って本質的には単純なものであり,慣れてしまえばさほど問題ではない。F50しか使っていない人にとっては,むしろ使いやすいと感じられることだろう。
 さらにF50では,左側のスイッチで「シンプルモード」と「アドバンスドモード」に切り替えられることも,大きな特徴である。「シンプルモード」ではプログラムAE専用となり,いくつかのプログラムパターンが選択できるものの,基本的にはまさにシャッターレリーズボタンを押すだけで撮影ができる。「アドバンスドモード」に切り替えると,マニュアル露出,絞り優先AE,シャッター速度優先AEのほか,プログラムAEで選択できるプログラムパターンも追加され,マルチモードAE機として充実した内容となる。
 「シンプルモード」にしておけば,初心者でも操作に迷うことはほとんどないだろう。「アドバンスドモード」に切りかえれば機能の発展性もあるので,初心者にとってはとても使いやすいカメラであることは間違いない。しかし,このカメラは重いのである。この重さが原因で敬遠され,他社製品を選択したというケースもあったのではないかと想像する。

Nikon F50, No.2110703
シャッター電子制御縦走り金属幕
シャッター速度30〜1/2000スピードライト同調X接点 1/125sec
露出モードシンプルモード:4種のイメージプログラムAE(オート,風景,ポートレイト,クローズアップ)
アドバンスドモード:8種のイメージプログラムAE(プログラムAE(プログラムシフト可能),風景,ポートレイト,クローズアップ,スポーツ,シルエット,夜景,動感),絞り優先AE,シャッター速度優先AE,マニュアル
露出計3D-6分割マルチパターン測光(Dタイプレンズ),中央部重点測光
CPU内蔵ではないレンズの場合,マニュアル露出のみ。露出計使用不可。
内蔵スピードライトGN13 (ISO100), 35mmレンズをカバー
ファインダー内情報シャッター速度,絞り,露出計
発売1994年