セコニック

マイクロライト L-88

SEKONIC / MICROLITE L-88

 セレン光電池にかわる素子,CdSを使用した露出計である。セレン光電池は,明るさに応じて電力を発生する素子である。それ自身が発電の力を持っているためにほかに電池などの電源が必要なく,色に対する特性が肉眼に近いといった利点があり,電気露出計のセンサとして利用されてきた。しかし,暗いところでは,測光の精度が低下する。それを補うために,ブースターと称する増設のセレン光電池を接続できる機種もあった。
 CdSは,明るさに応じて抵抗値が変化する素子であり,それ自身には発電能力はない。そのため,CdSを使った露出計には,別途,電源となる電池が必要である。一方で,セレン光電池を使った露出計より暗いところでも測光できるようになった。

 SEKONIC Microlite L-88は,世界ではじめての,CdSを使った露出計であると称している。たとえば,日本カメラショー「カメラ総合カタログ」vol.4(1961年3月)にこの製品の掲載があり,「世界で始めて硫化カドミュム(CdS)を使用した露出メーター」であること,「LV1(絞りF1.4で1秒)と云う極低照度まで計れる」ことをアピールしている。「重工業品輸出ガイドブック 1961年版」(通商産業省重工業局重工業品輸出課 編,1961)(*1)ではセコニックについて,「昭和35年12月世界で初めて半導体硫化カドミウムを使用した超高感度メーター(略)を発売し」と説明している。この,1960年12月が発売年月ということになるのだろう。

 CdSを使用した初期の露出計としては,ほぼ同じ時期に(当時)西ドイツのGOSSENから発売されたLunasixも有名である。


*1 「重工業品輸出ガイドブック 1961年版(通商産業省重工業局重工業品輸出課 編,1961) (国立国会図書館デジタルコレクション)
https://dl.ndl.go.jp/pid/2527000/1/301


SEKONIC Microlite meter L-88, No.015109
測光種類反射光式 高低2段切換 受光角度40°
電源水銀電池1個
発売1960年12月