豊橋市の大真精機(現在の「大真工和株式会社」)という会社が製造した,ボルタ判フィルムを使うおもちゃカメラである。パッケージには,カメラ本体,ケースとフィルム2本がセットされている。セットされているフィルムは,愛光商会のライトパンカラー,ボルタ判10枚撮りで,使用期限は1982年9月になっている。したがって,このカメラは1981年ころに製造,出荷されたものと想像できる。ボディには「Hobby J」という名称が書かれているが,取扱説明書では「ホビージュニアカメラ」という名称になっている。
カメラは,固定焦点で,シャッター速度も1速だけの簡便なものである。ただし,絞りは2段階に切りかえられる。 裏紙のついたボルタ判フィルムを使い,裏蓋の赤い窓を見ながら数字が出るようにフィルムを送っていくしくみになっている。そのため,フィルムカウンタも必要なく,いっそう簡便なカメラとなっているのである。 レンズは1枚構成のようだが,そのまわりの分解ができず,未確認である。単純なレンズの描写を補うかのように,フィルム面が湾曲するように送られるしくみになっている。
「カメラレビュー クラシックカメラ専科 No.21」(朝日ソノラマ,1992年)には,このカメラと同じと思われるものが「ホビー35J」として記載されており,その発売年は昭和38(1963)年となっている。掲載されている画像のものは,巻き上げノブが白いことが異なる。巻き上げノブが黒いものにかわるなどの小さな変更がありながらも,長期間にわたって販売が続けられてきたのだろう。
35mm幅のフィルムが,裏紙とともにスプール(軸)に巻き取られたもので,24mm×36mmサイズで10枚撮り,24mm×24mmサイズで12枚撮りのものが販売されてきた。裏紙に印刷された数字を読み取ることができるようにしておけば,自動巻き止めやフィルムカウンタなどの複雑なメカニズムを導入する必要がなく,カメラの価格を抑えることができる。そのため,おもちゃカメラに多く利用されてきた規格のフィルムである。 日本国内では,ライトパンフィルムで有名な愛光商会から比較的近年まで供給されてきたが,現在,この規格のフィルムは市販されていない。120フィルムの裏紙と35mmフィルムを組み合わせて,フィルムを自作している人もあるようだ。
東日新聞の「人に歴史あり」(http://www.tonichi.net/news.php?mode=view&categoryid=2&id=16489)が参考になる。これによると大真精機は,「東郷堂社員だった」創業者が1960(昭和35)年におこした「精密部品加工」の会社であることがわかる。大真精機は,1981(昭和56)年に社名を大真工和に変更したものの,取り込み詐欺の被害にあって,一時,会社経営が危険な状態になったことも書かれている。ここで紹介した製品は,同梱されていたフィルムの有効期限が1982年9月だったことから,ちょうど,大真工和に変更する時期のものと考えられる。
豊橋市の大真精機(現在の「大真工和株式会社」)という会社が製造した,ボルタ判フィルムを使うおもちゃカメラである。パッケージには,カメラ本体,ケースとフィルム2本がセットされている。セットされているフィルムは,愛光商会のライトパンカラー,ボルタ判10枚撮りで,使用期限は1982年9月になっている。したがって,このカメラは1981年ころに製造,出荷されたものと想像できる。ボディには「Hobby J」という名称が書かれているが,取扱説明書では「ホビージュニアカメラ」という名称になっている。
カメラは,固定焦点で,シャッター速度も1速だけの簡便なものである。ただし,絞りは2段階に切りかえられる。
裏紙のついたボルタ判フィルムを使い,裏蓋の赤い窓を見ながら数字が出るようにフィルムを送っていくしくみになっている。そのため,フィルムカウンタも必要なく,いっそう簡便なカメラとなっているのである。
レンズは1枚構成のようだが,そのまわりの分解ができず,未確認である。単純なレンズの描写を補うかのように,フィルム面が湾曲するように送られるしくみになっている。
「カメラレビュー クラシックカメラ専科 No.21」(朝日ソノラマ,1992年)には,このカメラと同じと思われるものが「ホビー35J」として記載されており,その発売年は昭和38(1963)年となっている。掲載されている画像のものは,巻き上げノブが白いことが異なる。巻き上げノブが黒いものにかわるなどの小さな変更がありながらも,長期間にわたって販売が続けられてきたのだろう。
ボルタフィルムについて
35mm幅のフィルムが,裏紙とともにスプール(軸)に巻き取られたもので,24mm×36mmサイズで10枚撮り,24mm×24mmサイズで12枚撮りのものが販売されてきた。裏紙に印刷された数字を読み取ることができるようにしておけば,自動巻き止めやフィルムカウンタなどの複雑なメカニズムを導入する必要がなく,カメラの価格を抑えることができる。そのため,おもちゃカメラに多く利用されてきた規格のフィルムである。
日本国内では,ライトパンフィルムで有名な愛光商会から比較的近年まで供給されてきたが,現在,この規格のフィルムは市販されていない。120フィルムの裏紙と35mmフィルムを組み合わせて,フィルムを自作している人もあるようだ。
大真精機(大真工和)について
東日新聞の「人に歴史あり」(http://www.tonichi.net/news.php?mode=view&categoryid=2&id=16489)が参考になる。これによると大真精機は,「東郷堂社員だった」創業者が1960(昭和35)年におこした「精密部品加工」の会社であることがわかる。大真精機は,1981(昭和56)年に社名を大真工和に変更したものの,取り込み詐欺の被害にあって,一時,会社経営が危険な状態になったことも書かれている。ここで紹介した製品は,同梱されていたフィルムの有効期限が1982年9月だったことから,ちょうど,大真工和に変更する時期のものと考えられる。