コニカ

L

Konica / L

 コニカで初めて,プログラム露光システムを採用したカメラ。内蔵された露出計の指針が「適正」を指すように,鏡胴周囲のリングを回すと,適切な絞りとシャッター速度の組みあわせが選択される。露出計とプログラムシャッターの組みあわせは,露出の難しさからユーザーを解放するものとなり,だれにでもきれいな写真が撮れる時代に一歩近づいたと言える。ただし,これはまだ,現在のような自動露出ではない。したがって,意図的な露出補正も可能なわけだが,何段ずらすか判断するための指標がなく,実際には露出計の「出た目」通りに撮るしかない。
 ボディは,当時としては画期的とも言えるくらい小型なものである。小型化のために,裏蓋が下に開くなどの数々の工夫が盛りこまれている。製品名のLは,「Light」ならびに「Lady」を意味しているとのことで,やはり当時としては珍しいグレーのボディカラーや,赤文字で目立つ「L」のロゴなど,女性のユーザを開拓することを狙ったもののようである。

 露出操作を簡単にするプログラム露光の採用は,ミノルタ「ユニオマット」が一足早かった(1960年)が,ユニオマットは二重像合致式距離計に連動するファインダーをもつなど機構的に充実させており,またカメラも大きく重かった。機能的には割り切りがあるがこそ,初心者向けカメラとしては,コニカLのバランスはとてもよいと感じられる。

Konica L, Body No.121258
撮影レンズHEXAR 40mm F2.8
露出プログラム露光 F2.8 1/30〜F22 1/250,Bあり
ピント調節目測 0.9m〜
発売1961年

Konica L (HEXAR 40mm F2.8), LV100

 このカメラをはじめて手にしたときに,まず驚いたことは,裏蓋の開き方である。次に,露出計の使い方がわからなかった。「プログラム露光システム」のため,とくに目盛もなにもないダイアルを回して,露出計の指針が「適正」の範囲になるようにすればいいだけのことである。「自動」化されているわけではないが,これは操作が簡単になるという意味では,たいへん画期的になシステムだったと言える。
 ボディは重いが,小型であり,コンパクトカメラの特徴を生かしていると言える。欲を言えば,このカメラに2重像合致式連動距離計が内蔵されていれば,個人的に,使う場面がもっと広がったものと思っている。もっとも,そうなっていたら,価格が高くなるなど,この製品本来の目的からは外れることになっていただろう。当時のコニカの製品では,高級モデルには「ヘキサノン」レンズを,廉価版モデルには「ヘキサー」レンズを採用していたようだ。このカメラも「ヘキサー」レンズを採用しているということは,基本的に廉価版のカメラだということである。