ミノルタがα-7000に次いで発売した,オートフォーカス一眼レフカメラである。α-7000は誰にでも使える自動化が進んだカメラであり,オートフォーカス一眼レフカメラの基本形を築いたという面で,歴史的に大きな意味のあるカメラだと言える。一方のα-9000は,オートフォーカス一眼レフカメラが,マニアやプロの要求にこたえられる可能性を示したという面で,これも歴史的に大きな意味のあるカメラだと言いたい。
α-9000は,α-7000をスペックアップしたものではなく,違った方向性を示していると考えられる。まず大きく異なるのは,AEモードの選択である。α-7000ではAEモードの選択などでプッシュボタンが多用され,旧来のマニュアルフォーカス一眼レフカメラとはまったく違ったユーザインタフェースになっている。α-9000では,ダイアル状になっており,旧来のユーザインタフェースに近いものになっている。 オートフォーカスの動作についても,大きな違いがある。α-7000のオートフォーカス機構は,ピントが合ったら合焦動作が停止し,シャッターレリーズがおこなえるというものになっている。それに対してα-9000のオートフォーカス機構は,つねにピントを合わせ続けようとし,いつでも(ピントが合っていなくても)シャッターレリーズがおこなえる「コンティニュアスAF」とよばれるしくみになっている。α-7000が「カメラの自動機構にまかせなさい」と言っているのだとすれば,α-9000は「カメラの自動機構はあくまでもお手伝い」と言っているということになるだろう。なお,このあとにニコンから発売されたニコン F-501AFでは,α-7000のような「シングルAF」とα-9000のような「コンティニュアスAF」の2つのモードを切り替えて使えるということも,セールスポイントの1つになっていた。 さらに大きな違いとしては,巻き上げ方法の違いがある。α-7000には電動ワインダーが内蔵されており,最速で毎秒 コマの自動巻き上げが可能になっている。α-9000ではワインダーはオプション品となっており,本体では巻き上げレバーを使った手動巻き上げになっている。オプションのモータードライブ「MD-90」では最速で毎秒5コマの高速巻き上げができ,電源としてはNi-Cdバッテリーパック「NP-90M」や単3電池パック「BP-90M」を使用する。Ni-Cdバッテリーパック「NP-90M」は縦位置グリップの形状をしており,縦位置レリーズボタンも備える。そのほか,巻き上げ速度が最大毎秒2コマに抑えられているが,比較的小型のワインダー「AW-90」も用意されている。高速な巻き上げは,いわゆるプロ用高級機の象徴のように思われるが,それを実現するためにはワインダーをオプションにするのがよいと判断したのであろうか。
α-9000では,オートフォーカスはまだ初期のものであり性能的にじゅうぶんではないと感じる人もあるだろうが,そのほかの基本的な機能はしっかりしたものであるという印象を受ける。ボディ外装はプラスチック製だが,安っぽさや頼りなさは感じない。シャッタースピードは1/4000秒まで使え,これはニコンNew FM2などと並んで,当時としては最速のものである。 露出制御に関しては,マニュアル露出のほか絞り優先AE,シャッター速度優先AE,プログラムAEが使え,機能的にはじゅうぶんである。露出補正もわかりやすい。多分割評価測光はないものの,中央部重点測光とスポット測光(ハイライト基準,標準,シャドウ基準)が使える。 個人的に特筆したいのは,ファインダーである。明るく感じ,ピントもわかりやすいよいファインダーになっている。さらに,内蔵された視度補正の範囲がじゅうぶんに広いことが,とてもありがたい。
裏蓋を「データバック90」に交換すると,日付の写しこみが可能になる。さらに,「プログラムバック90」に交換すると,日付の写しこみに加えて,インターバルタイマー撮影などの機能が付加される。インターバルタイマー撮影は,一定の時間間隔で自動的に撮影をおこなうもので,オートフォーカス一眼レフカメラのメリットを大きくアピールすることができる機能である。
α-7000が「カメラの自動化」を強く印象付ける製品だったのに対し,α-9000はオートフォーカスなどの自動化はあくまでも補助であるという立ち位置をとっているように感じられる。それがもっとも明確にあらわれているところは,オートフォーカス方式の違いにあるといえる。α-7000は「ピントが合うまでオートフォーカスが動作し,ピントが合ったらシャッターが動作する」という動きになっていて,「確実に失敗のない写真を撮る」ことを優先に考えている,といえる。それに対してα-9000は,「つねにピントを合わせようとしつづけ,ピントが合っていてもいなくても,シャッターレリーズボタンを押しこめばシャッターが動作する」という動きになっている。 巻き上げについても,α-7000はワインダーを内蔵し扱いやすくしているのに対し,α-9000ではワインダーやモータードライブがオプション扱いになっている。カメラが大きく重く,全体として高価格なものになってしまうが,高速な巻き上げが必要な場合や,静かな巻き上げが必要な場合など,さまざまな撮影場面に対応できる柔軟性をそなえているとみなすことができる。α-9000は,ファインダーの見え具合や巻き上げのスムースさなど,カタログ上に数値としてあらわさせるスペックでない部分にも,よさを感じることができるまさに高級機であるといってよいだろう。
ミノルタがα-7000に次いで発売した,オートフォーカス一眼レフカメラである。α-7000は誰にでも使える自動化が進んだカメラであり,オートフォーカス一眼レフカメラの基本形を築いたという面で,歴史的に大きな意味のあるカメラだと言える。一方のα-9000は,オートフォーカス一眼レフカメラが,マニアやプロの要求にこたえられる可能性を示したという面で,これも歴史的に大きな意味のあるカメラだと言いたい。
α-9000は,α-7000をスペックアップしたものではなく,違った方向性を示していると考えられる。まず大きく異なるのは,AEモードの選択である。α-7000ではAEモードの選択などでプッシュボタンが多用され,旧来のマニュアルフォーカス一眼レフカメラとはまったく違ったユーザインタフェースになっている。α-9000では,ダイアル状になっており,旧来のユーザインタフェースに近いものになっている。
オートフォーカスの動作についても,大きな違いがある。α-7000のオートフォーカス機構は,ピントが合ったら合焦動作が停止し,シャッターレリーズがおこなえるというものになっている。それに対してα-9000のオートフォーカス機構は,つねにピントを合わせ続けようとし,いつでも(ピントが合っていなくても)シャッターレリーズがおこなえる「コンティニュアスAF」とよばれるしくみになっている。α-7000が「カメラの自動機構にまかせなさい」と言っているのだとすれば,α-9000は「カメラの自動機構はあくまでもお手伝い」と言っているということになるだろう。なお,このあとにニコンから発売されたニコン F-501AFでは,α-7000のような「シングルAF」とα-9000のような「コンティニュアスAF」の2つのモードを切り替えて使えるということも,セールスポイントの1つになっていた。
さらに大きな違いとしては,巻き上げ方法の違いがある。α-7000には電動ワインダーが内蔵されており,最速で毎秒 コマの自動巻き上げが可能になっている。α-9000ではワインダーはオプション品となっており,本体では巻き上げレバーを使った手動巻き上げになっている。オプションのモータードライブ「MD-90」では最速で毎秒5コマの高速巻き上げができ,電源としてはNi-Cdバッテリーパック「NP-90M」や単3電池パック「BP-90M」を使用する。Ni-Cdバッテリーパック「NP-90M」は縦位置グリップの形状をしており,縦位置レリーズボタンも備える。そのほか,巻き上げ速度が最大毎秒2コマに抑えられているが,比較的小型のワインダー「AW-90」も用意されている。高速な巻き上げは,いわゆるプロ用高級機の象徴のように思われるが,それを実現するためにはワインダーをオプションにするのがよいと判断したのであろうか。
α-9000では,オートフォーカスはまだ初期のものであり性能的にじゅうぶんではないと感じる人もあるだろうが,そのほかの基本的な機能はしっかりしたものであるという印象を受ける。ボディ外装はプラスチック製だが,安っぽさや頼りなさは感じない。シャッタースピードは1/4000秒まで使え,これはニコンNew FM2などと並んで,当時としては最速のものである。
露出制御に関しては,マニュアル露出のほか絞り優先AE,シャッター速度優先AE,プログラムAEが使え,機能的にはじゅうぶんである。露出補正もわかりやすい。多分割評価測光はないものの,中央部重点測光とスポット測光(ハイライト基準,標準,シャドウ基準)が使える。
個人的に特筆したいのは,ファインダーである。明るく感じ,ピントもわかりやすいよいファインダーになっている。さらに,内蔵された視度補正の範囲がじゅうぶんに広いことが,とてもありがたい。
裏蓋を「データバック90」に交換すると,日付の写しこみが可能になる。さらに,「プログラムバック90」に交換すると,日付の写しこみに加えて,インターバルタイマー撮影などの機能が付加される。インターバルタイマー撮影は,一定の時間間隔で自動的に撮影をおこなうもので,オートフォーカス一眼レフカメラのメリットを大きくアピールすることができる機能である。
α-7000が「カメラの自動化」を強く印象付ける製品だったのに対し,α-9000はオートフォーカスなどの自動化はあくまでも補助であるという立ち位置をとっているように感じられる。それがもっとも明確にあらわれているところは,オートフォーカス方式の違いにあるといえる。α-7000は「ピントが合うまでオートフォーカスが動作し,ピントが合ったらシャッターが動作する」という動きになっていて,「確実に失敗のない写真を撮る」ことを優先に考えている,といえる。それに対してα-9000は,「つねにピントを合わせようとしつづけ,ピントが合っていてもいなくても,シャッターレリーズボタンを押しこめばシャッターが動作する」という動きになっている。
巻き上げについても,α-7000はワインダーを内蔵し扱いやすくしているのに対し,α-9000ではワインダーやモータードライブがオプション扱いになっている。カメラが大きく重く,全体として高価格なものになってしまうが,高速な巻き上げが必要な場合や,静かな巻き上げが必要な場合など,さまざまな撮影場面に対応できる柔軟性をそなえているとみなすことができる。α-9000は,ファインダーの見え具合や巻き上げのスムースさなど,カタログ上に数値としてあらわさせるスペックでない部分にも,よさを感じることができるまさに高級機であるといってよいだろう。