マミヤ

Mamiya / U

 曲面を意識した独特の非常にユニークなデザインをもった,フラッシュ内蔵カメラである。電源には単4乾電池2本を使用し,単3乾電池2本を使用する当時のほかのコンパクトカメラにくらべても,かなり小型にしあがっている。このデザインとコンパクトさは,現代でも十分に通用するだろう。ボディカラーのバリエーションとしては,このような「黒」以外に「シルバー」が用意されていた。また,「シルバー」ボディの方が,価格が高く設定されていた。
 機能的には,目測式ピント調節,ノブ式巻き上げの,平凡なものである。ピントリングには,距離目盛だけでなく,ゾーンフォーカス用のピクトグラムも併記されている。距離目盛は全体が見えるようになっているのに対して,ゾーンフォーカス用のピクトグラムは選択したものだけが見えるようになっている点は,ピントなどをあまり気にせず気軽に撮るユースへの配慮であろうか。
 なお,本来のシャッターレリーズボタンには黄色いゴムが使われているが,このカメラを入手したときには,それは朽ちて失われていたため,ここではかわりに黒いビニルを貼っている。
 ユニークなデザインだが,あえて指摘するならばOLYMPUS XAシリーズ(OLYMPUS XAOLYMPUS XA2)に似ていると言えるだろう。OLYMPUS XAシリーズはフラッシュを着脱式にして本体を徹底的に小型にしているので,マミヤUとはコンセプトが大きく違っていると思われるのだが,いまあらためて比較してみるのもおもしろい。


Mamiya U, Body No.1078412
撮影レンズSekor LENS 35mm F2.8 4群5枚
シャッター速度1/8〜1/500
絞り2.8 〜 16
露出調節プログラムAE
ピント調節目測式 1m〜∞
内蔵フラッシュGN11 (ISO100)電源単4乾電池 2本
発売1981年

 日本カメラショーの「カメラ総合カタログ」には掲載がないが,マミヤUには「おくのてクン」という名称の「脚つきカメラケース」が用意されていた。マミヤUそのものを中古カメラ店で見かけることが少ないが,「おくのてクン」を見かけることは,もっと少ない。また,「カメラ総合カタログ」に掲載がないこともあわせて考えれば,標準的な付属品やオプション品として販売されていたものなどではなく,なんらかのキャンペーンにおける購入者特典のような形で頒布されたものだったのではないかと思われる。
 脚があって自立できるため,テーブル三脚として使うことができるほか,ストラップをつけることもできるので持ち運ぶときのカメラケースとして使うこともできる。そのとき,「手」がカメラ前面をしっかりとささえてくれるようになっている。この「手」が存在するからこそ,このケースに「おくのてクン」という名称が与えられたのだろう。

 「おくのてクン」という名称であるならば,このケースでは「手」が主役として企画されたのだろうと思われるが,実際には「足」のほうが目立っている。そこにはちょっとしたしかけがあり,靴を脱がせるとそこに単4乾電池を収納することができるようになっている。左右あわせて2本の単4乾電池が収納でき,予備の電池を携行できるようになっているのだ。マミヤUを使っていて「あ,電池切れだ!」というときに,「ふふふ,こんなこともあろうかと…」と「おくのてクン」が予備の電池を差し出してくれるのだ。もしかすると,ここに予備の電池を隠しておけることこそが,「おくのて」という名称の由来なのだろうか?

Mamiya U (Sekor LENS 35mm F2.8), S100

 露出は自動であるが,ほかはすべてマニュアルで操作するカメラである。フラッシュは,必要なときにだけポップアップさせて使う方式なので,発光してほしくないときにはいちいちオフにセットする必要はない。オートフォーカスもないので,あらかじめ目測でピントを決めておく必要があるが,それだけに大外しすることもない。一般的に,コンパクトカメラのシャッターレリーズのタイムラグは大きいが,それはたぶんに「賢い」オートフォーカスのせいだろう。オートフォーカスのない「マミヤU」ならば,シャッターレリーズボタンを押すと,思ったようにシャッターが切れる。Y字路の角にあった日当たりのよいお店が気になったので,シャッターを切ってみたりする。

Mamiya U (Sekor LENS 35mm F2.8), S100

 そして,クルマに乗っているとき。ちょうど赤信号で止まったときに,ふと横をみると,なんともユニークな看板があったりする。そんなときにも,このようなシンプルでコンパクトなカメラは,大活躍するのである。こんなカメラは,いつでも携帯しておきたいものだ。


 日本カメラショーの「カメラ総合カタログ」に,マミヤUが掲載されていたのは,1982年版から1984年版までの期間である。マミヤUの発売初年は1981年とのことなので,3〜4年間にわたって製造されてきたことになる。
 そのためか,初期に製造されたと思われるものと,細部の異なるものがある。シリアルナンバーの最初の数字が1のブラックボディ(これを前期型とする)と,それ以外のもの(シルバーボディと,シリアルナンバーの最初の数字が2および3のブラックボディ,これを後期型とする)との間には,次のような相違点が認められる。
 1つは,レンズバリアを開閉するレバーの部分の色である。後期型では,レンズカバーを開くとそこが黄色く見えるようになっているのに対し,前期型ではそのような着色はされていない。
 もう1点は,ゾーンフォーカスのピクトグラムの色である。後期型では,距離3mに対応するピクトグラムだけが黄色地に黒でプリントされ,ほかのピクトグラムとの識別が明確になるようになっている。ピント位置を3mにしておけば,日中の撮影であれば近距離から遠景までほぼ被写界深度内にはいり,ピント調整を不要にすることができる(パンフォーカス)。
 いずれも,撮影がより簡単に,より確実にできるようにするための工夫と言える。
 詳細は,マミヤプレスファンクラブマミヤUを参照。