マミヤ

ZE-2

Mamiya / ZE-2

 レンズマウントに多数の電気接点をもつ「ミラクルマウント」一眼レフカメラ「マミヤZE」に,マニュアル露出モードが追加されたモデルである。しかし,マニュアル露出モードでは,露出計が動作しない。基本的にAEでの使用を前提としたカメラである。
 「ZE」とは,ペンタプリズム部のデザインがやや異なる。また,「ZE」の機能に加えて,レンズの焦点距離に応じた手ぶれ警告機能が追加された。「ミラクルマウント」によって,レンズの焦点距離の情報が伝達されることによる機能である。それにもかかわらず,マニュアル露出モードで露出計が使えないのは,いかがなものかと文句の1つもいいたくなる。
 「ミラクルマウント」レンズには,電気接点が10個の「E」レンズと11個の「EF」レンズがある。「E」レンズのピンの役割は,(1) 基準電圧1,(2) 開放絞り値,(3) 最小絞り値,(4) 基準電圧2,(5)(6)(7) レンズ焦点距離,(8)(9)(10)開放補正 となっている。「ZE」では(1)〜(3),「ZE-2」(および「ZM」)ではさらに(4)〜(6)の信号を使用している。このような凝ったしくみをもっているにもかかわらず,絞り値は機械的に伝達している。これだけの細かい電気接点を製造する技術は,ある程度の高いものが必要かと思われるが,それが十分に活かし切っていないように思われるであった。
 カメラの質感に関しても,「ZE」と同様に,チープな感触である。上下カバーがプラスチック製であることは軽量化やコストダウンのために一般的なことになっているが,このシリーズはそのプラスチックが極めて薄く弱い印象を受ける。ストレートに書けば,きわめて安っぽい。マミヤプレスマミヤRB67など,質実剛健という言葉が似合いそうな中判カメラを送りだしてきたマミヤだが,ZEおよびZE-2の安っぽさは,ほんとうにいただけない。
 「ZE-2」は,絞り優先AEとマニュアル露出が可能であるが,前述のようにマニュアル露出のときには露出計が使えない。あくまでも絞り優先AEカメラで,マニュアル露出機能は「おまけ」と考えるべきである。また,露出計のファインダー内表示は,「ZE」と同様に,シャッター速度をあらわす1000から30までの値と低速シャッターである「LT」を示すだけのものである。これだけの表示では,マニュアル露出時に露出計が使える仕様になっていたとしても,やはり不十分で不満を強く感じたことだろう。
 そんな不満だらけのマミヤZE,マミヤZE-2だが,コンパクトなボディとレンズの組み合わせは,お手軽な撮影にはうってつけである。安っぽさに反して,愛着の湧いてくる,不思議なカメラといえようか。

Mamiya ZE-2, No.N217967
シャッター電子制御縦走り金属羽根
シャッター速度B, X, AUTO,1〜1/1000スピードライト同調1/90sec,X
露出計TTL中央部重点測光露出モードマニュアル,絞り優先AE
マウントミラクルマウント
発売1980年11月

 マミヤZE用に発売されていたオプション品で,決して忘れてはならないものは,この「M645-ZEマウントアダプタ」であろう。中判一眼レフカメラである「マミヤM645」シリーズ用の交換レンズを,35mm判一眼レフカメラ「マミヤZE」シリーズで利用するための,純正マウントアダプタである。ただし,自動絞りには連動しないため,M645用レンズを使うときには「A」(自動絞り)「M」(マニュアル絞り)切り替えを,「M」にしておく必要がある。そのほかのマウントアダプタは,「マウントアダプタ」を参照。