キヤノン

EX EE

Canon / EX EE

 キヤノンの一眼レフカメラとしては,キヤノンフレックスからRシリーズ,Fシリーズ,Aシリーズ,Tシリーズという流れがあるが,その流れとは別のシリーズとして登場したカメラである。最大の違いは,レンズマウントにある。キヤノンフレックスからTシリーズまでは,絞りの連動機構やAEへの対応などの違いはあるが,マウントの形状は同じものであった。それに対してEX EEでは,ねじ込み式でレンズの前群だけを交換するようになっている。このようなしくみにすることで,カメラ本体や交換レンズを低価格で供給できたようだ。実際,日本カメラショー「カメラ総合カタログ vol.38」(1978年)を参照すると,キヤノンFTが標準レンズ(FL 50mm F1.8)付きで45800円であるのに対し,キヤノンEXEEは標準レンズ(EX 50mm F1.8)付きで33000円となっている。
 EXEEは,その名称が物語るように,自動露出(EE)機構をもっている。自動露出は,AE (Automatic Exposure)と表記されることが多いが,登場当初はEE (Electric Eye)とよばれていた。この時代もまだ,「EE」がなにを意味するかは通じやすかったということだろう。
 Canon EXEEの自動露出は,シャッター速度に応じて自動的に適切な絞りが選択される「シャッター速度優先」式になっている。シャッター速度は,右手側にあるダイアルで設定する。低速側が1/8秒までになっており,スペック的にはもの足りない。並行して発売されていたFシリーズとの,商品の差別化を明確にするためであったのだろうか。
 シャッター速度の設定に関するインタフェースは一般的なものだが,絞りの設定に関するインタフェースが少し変わっており,巻き戻しクランクの周囲にあるダイアルで絞りを選択するようになっている。慣れの問題もあるのかもしれないが,これは少々,操作がしにくい。だが自動露出への切り替えもこのダイアルでおこなうようになっており,このことをふまえれば,Canon EXEEは自動露出で使用することを前提にしたカメラだと考えたほうがよさそうである(このあたりの考え方は,ヤシカのCONTAX RTSも似ているように感じられる)。内蔵された露出計はTTL開放測光になっているが,露出計が利用できるのは自動露出のときだけで,マニュアル露出のときは露出計がはたらかないことも,自動露出での使用を前提にした割り切りといえるだろう。

Canon EX EE, No.221037
シャッター機械式横走り布幕
シャッター速度1/8〜1/500スピードライト同調1/60sec,X
露出計TTL中央部重点測光露出モードシャッター速度優先AE
マウントキヤノンEXマウント
発売1969年