この世にカメラは2種類ある。それはニコン様とそれ以外のカメラである。ニコン様の名声は,Sシリーズにより世界的に高まっていったが,ニコン様のお力をより多くの人がわかちあえるようになったカメラは,「ニコンF」様であらせられる。
「ニコンF」は,かつて世界最高と言われた35mm判一眼レフカメラである。また,1959年から1974年まで販売された超ロングセラー機でもあった。頑丈なボディと,充実したシステムが,その活躍を支えてきた。 システムの特徴の1つには,ファインダーの交換ができることがあげられる。最初の「ニコンF」は,アイレベルファインダーを装着したもので,露出計は内蔵されていなかった。その後,フォトミックファインダーが発売され,それに交換することで,露出計と絞り,シャッター速度が連動するようになった。さらに後期のフォトミックファインダーを装着すると,当時としては最先端の機能である「TTL測光」も可能になった。基本が確実なカメラだったからこそ,ちょっとした機能の追加で,長く使える信頼性を勝ち取っていったのである。 システムの特徴としては,充実した交換レンズ群の存在もあげられる。ニコンFは発売当初から,広角レンズのラインアップが用意されていた(NIKKOR Auto-S 35mm F2.8など)。一眼レフカメラにはミラーボックスが必要なことから,交換レンズのバックフォーカス(レンズ後端からフィルム面までの距離)を長くとる必要がある。このことが広角レンズの設計上の大きな制約となっていたのである。ピント合わせやファインダー倍率,ファインダー視野率等の関係から,広角レンズでの撮影には距離計連動式ビューファインダーカメラ(レンジファインダーカメラ)の方が適していると考える人もある。そのような面はたしかにあるが,一眼レフカメラ用広角レンズの普及が遅れたことが,そのような考えに影響しているのではないかと考えられる。
「ニコンF」は,古いカメラであることは間違いない。シャッターボタンが妙に手前についていることや,蝶つがいを使わない裏蓋などの特徴は,バルナックライカなどを参考にして開発されたカメラからはじまるニコンSシリーズの面影をひきずっているといえる。しかし,確実に動作することや,見やすいファインダー,そして種類が豊富で高性能な交換レンズ群の存在など,「ニコンF」は,永遠に実用的なカメラなのである。35mm判一眼レフカメラを語るにおいて,「ニコンF」を避けて通ることはできない。また,「ニコンF」を体験せずに,35mm判一眼レフカメラを語ってはいけないのである。
「ニコンF」はファインダーを交換することで,内蔵露出計を進化させていくことができた。
いちばん上はアイレベルファンダーを装着したもので,このときは露出計を内蔵していない状態である。
2ばんめは1962年に発売されたフォトミックファインダーを装着したものである。これによって,シャッター速度と絞りの両方に連動する外光式のCdS露出計を内蔵したことになる。このファインダー(露出計)の電源として,水銀電池(MR9)1個を必要とした。レンズの開放F値を設定する必要はない。
下は1968年に発売された最終形式のフォトミックFTNファインダーを装着したものである。露出計はTTL中央重点測光で,レンズ装着後に絞りリングを1往復させることで開放F値が自動的に設定されるようになった。いわゆる「ニコンのガチャガチャ」儀式である。このファインダー(露出計)の電源として,水銀電池(MR9)2個を必要とした。なお,この画像にみられるファインダーは,ブラックボディ用のものである。
フォトミックファインダーとフォトミックFTNファインダーの間に,TTL開放測光で平均測光のフォトミックTファインダー(1965年),さらに中央重点測光になったフォトミックTNファインダー(1967年)が登場している。なお,初期のニコンFボディにフォトミックT以後のファインダーを取りつけるときには,ファインダー取りつけ部やネームプレートなどの改造が必要になる場合がある。
「ニコンF」は1959年から1974年までの長期間にわたって製造・販売が続けられたカメラである。長い製造期間の途中でさまざまな改良が加えられており,それらの間にはさまざまな細かい差異があり,細かい分類がいろいろと発表されている。それらはおおまかに,前期,中期,後期にわけて語られることが多い。
一般的に前期モデルとされるものは,軍艦部にいわゆる「日本光学マーク」が刻まれているものを指している。これは,シリアルナンバーの上位2桁が64〜67あたりのものが該当するとされる。シリアルナンバーの上位3桁が640のものは初期型(さらに上位4桁が6400ならば最初期型)として,コレクターが注目するポイントとなっている。
一般に中期モデルとされるものは,軍艦部のマークが「Nikon」になったものを指している。これは,シリアルナンバーの上位2桁が67〜69あたりのものが該当するとされる。
一般に後期モデルとされるものは,フォトミックFTNファインダーが取りつけられるようになったものを指し,シリアルナンバーの上位2桁が69以降のものが該当するとされる。シリアルナンバーの上位2桁が72以降のものには,巻き上げレバーがゴム付きのものになっているなど,ニコンF2と同様の部品を使っているものも存在し,最後期型あるいは「ニューF」などとよばれることもある。なお,前期モデルあるいは中期モデルのボディにフォトミックFTNファインダーを取りつけるには,ネームプレートを削るなどの加工が必要になってくる。
この世にカメラは2種類ある。それはニコン様とそれ以外のカメラである。ニコン様の名声は,Sシリーズにより世界的に高まっていったが,ニコン様のお力をより多くの人がわかちあえるようになったカメラは,「ニコンF」様であらせられる。
「ニコンF」は,かつて世界最高と言われた35mm判一眼レフカメラである。また,1959年から1974年まで販売された超ロングセラー機でもあった。頑丈なボディと,充実したシステムが,その活躍を支えてきた。
システムの特徴の1つには,ファインダーの交換ができることがあげられる。最初の「ニコンF」は,アイレベルファインダーを装着したもので,露出計は内蔵されていなかった。その後,フォトミックファインダーが発売され,それに交換することで,露出計と絞り,シャッター速度が連動するようになった。さらに後期のフォトミックファインダーを装着すると,当時としては最先端の機能である「TTL測光」も可能になった。基本が確実なカメラだったからこそ,ちょっとした機能の追加で,長く使える信頼性を勝ち取っていったのである。
システムの特徴としては,充実した交換レンズ群の存在もあげられる。ニコンFは発売当初から,広角レンズのラインアップが用意されていた(NIKKOR Auto-S 35mm F2.8など)。一眼レフカメラにはミラーボックスが必要なことから,交換レンズのバックフォーカス(レンズ後端からフィルム面までの距離)を長くとる必要がある。このことが広角レンズの設計上の大きな制約となっていたのである。ピント合わせやファインダー倍率,ファインダー視野率等の関係から,広角レンズでの撮影には距離計連動式ビューファインダーカメラ(レンジファインダーカメラ)の方が適していると考える人もある。そのような面はたしかにあるが,一眼レフカメラ用広角レンズの普及が遅れたことが,そのような考えに影響しているのではないかと考えられる。
「ニコンF」は,古いカメラであることは間違いない。シャッターボタンが妙に手前についていることや,蝶つがいを使わない裏蓋などの特徴は,バルナックライカなどを参考にして開発されたカメラからはじまるニコンSシリーズの面影をひきずっているといえる。しかし,確実に動作することや,見やすいファインダー,そして種類が豊富で高性能な交換レンズ群の存在など,「ニコンF」は,永遠に実用的なカメラなのである。35mm判一眼レフカメラを語るにおいて,「ニコンF」を避けて通ることはできない。また,「ニコンF」を体験せずに,35mm判一眼レフカメラを語ってはいけないのである。
ニコンFとファインダーについて
「ニコンF」はファインダーを交換することで,内蔵露出計を進化させていくことができた。
いちばん上はアイレベルファンダーを装着したもので,このときは露出計を内蔵していない状態である。
2ばんめは1962年に発売されたフォトミックファインダーを装着したものである。これによって,シャッター速度と絞りの両方に連動する外光式のCdS露出計を内蔵したことになる。このファインダー(露出計)の電源として,水銀電池(MR9)1個を必要とした。レンズの開放F値を設定する必要はない。
下は1968年に発売された最終形式のフォトミックFTNファインダーを装着したものである。露出計はTTL中央重点測光で,レンズ装着後に絞りリングを1往復させることで開放F値が自動的に設定されるようになった。いわゆる「ニコンのガチャガチャ」儀式である。このファインダー(露出計)の電源として,水銀電池(MR9)2個を必要とした。なお,この画像にみられるファインダーは,ブラックボディ用のものである。
フォトミックファインダーとフォトミックFTNファインダーの間に,TTL開放測光で平均測光のフォトミックTファインダー(1965年),さらに中央重点測光になったフォトミックTNファインダー(1967年)が登場している。なお,初期のニコンFボディにフォトミックT以後のファインダーを取りつけるときには,ファインダー取りつけ部やネームプレートなどの改造が必要になる場合がある。
ニコンFの前期・中期・後期モデルについて
「ニコンF」は1959年から1974年までの長期間にわたって製造・販売が続けられたカメラである。長い製造期間の途中でさまざまな改良が加えられており,それらの間にはさまざまな細かい差異があり,細かい分類がいろいろと発表されている。それらはおおまかに,前期,中期,後期にわけて語られることが多い。
一般的に前期モデルとされるものは,軍艦部にいわゆる「日本光学マーク」が刻まれているものを指している。これは,シリアルナンバーの上位2桁が64〜67あたりのものが該当するとされる。シリアルナンバーの上位3桁が640のものは初期型(さらに上位4桁が6400ならば最初期型)として,コレクターが注目するポイントとなっている。
一般に中期モデルとされるものは,軍艦部のマークが「Nikon」になったものを指している。これは,シリアルナンバーの上位2桁が67〜69あたりのものが該当するとされる。
一般に後期モデルとされるものは,フォトミックFTNファインダーが取りつけられるようになったものを指し,シリアルナンバーの上位2桁が69以降のものが該当するとされる。シリアルナンバーの上位2桁が72以降のものには,巻き上げレバーがゴム付きのものになっているなど,ニコンF2と同様の部品を使っているものも存在し,最後期型あるいは「ニューF」などとよばれることもある。なお,前期モデルあるいは中期モデルのボディにフォトミックFTNファインダーを取りつけるには,ネームプレートを削るなどの加工が必要になってくる。