ウェルタ

ペルレ

Welta / Perle

 1930年代後半に製造された,ドイツ製のセミ判(6×4.5判)カメラである。大きく前期モデルと後期モデルに分類でき,後期モデルはボディにシャッターレリーズボタンがつけられている。ここで紹介するカメラは,後期モデルに該当する。
 搭載されたレンズのバリエーションも多く,高価なモデルにはCarl ZeissのTessar F4.5やF2.9がつけられていたようだ。一方,ここに紹介するWeltar Anastigmat 7.5cm F4.5つきのものは,安価なモデルに該当する。
 「アサヒカメラ」1938年5月号の広告では「ウェルタ・ペルレ 110.00〜235.00円」(代理店 フォット・ニュース社)と紹介されているように,価格の差もかなりみられていた。その紙面に掲載されている画像を見ると,ボディにシャッターレリーズボタンのつけられた後期モデルである。1938年にはすでに,前期モデルから後期モデルに,モデルチェンジがおこなわれていたようである。
 中古カメラを扱うお店の広告を見るかぎり,ペルレはかなりの種類と数が出回っていたように見受けられる。少なくともレンズがテッサーやウェルターのものは,決してレアでも珍品でもない,ポピュラーなものであるといえるだろう。

 なお,この赤い蛇腹は,本来の蛇腹が劣化したためにその代用として,自作したものである。発売当時に,このようなカラーバリエーションが設定されていたわけではない。

Welta Pelre, Lens No.60413
レンズWeltar Anastigmat 7.5cm F4.5
シャッター速度B, T, 1〜1/250 (Compur)
ピント調節目測式,最短撮影距離3.5ft
フィルム送りノブ巻き上げ,赤窓式(2か所)
画面サイズ6cm×4.5cm 発売1938年ころ

Welta Perle, Weltar Anastigmat 7.5cm F4.5, PORTRA400VC

 周辺のボケが円を描いているように見えるところは,3枚玉レンズの欠点であろう。しかし,ピントのあった部分はとてもシャープである。雨の日のしっとり感もあり,全体としては悪くない。


 このペルレのシャッターはコンパー,1秒〜1/250秒が使え,実用性は十分である。また,シャッターレリーズレバーを操作するためのシャフトがボディ側から伸びている。これはペルレの後期型から採用された機構で,当時の広告等では「ボディーシャッター」などと表現されているようだ。また,販売店の中古カメラの広告を見ると,「I型」「II型」等の表記が見られる。それぞれ,ボディーシャッターになっていない前期型と,ボディーシャッターになった後期型をあらわしているものと思われる。

 このペルレのレンズは,どちらかといえば廉価版と思われる,Weltar Anastigmat 7.5cm F4.5である。販売店の中古カメラの広告を見ると,「ウェルター4.5」のほかに「テッサー4.5」「テッサー2.8」などの表記も見られ,さまざまなバリエーションの存在をうかがい知ることができる。
 また,シャッターがプロンターのバージョンがあったこともうかがえる。

 ペルレの底面には小さなボタンがあり,これを押すと,ばねの力でレンズボードが飛び出して撮影可能な状態になる。いわゆる,スプリングカメラである。カメラ上部にある大きなボタンは,シャッターレリーズボタンである。
 巻き上げは赤窓式。当時の120フィルムの裏紙にはセミ判用の数字が記載されていなかったため,2つ並んだ赤窓に,同じ数字を1回ずつ表示させることになる。