写真というシステムは,光があたることによる化学変化を利用して,像を記録するものである。つまり,写真には光が必要なのである。発明されたころの写真は,昼間の屋外の撮影でも,露光時間が数10分以上かかるものだったが,感光材の発展によりだんだん「瞬間」を記録できるようになった。しかし,室内など暗いところの撮影には,やはり長時間の露光が必要である。照明を多数用いるなど,部屋を明るくする方法もあるが,どうしても大がかりになってしまう。写真として記録するためであれば,明るいのはほんの一瞬でよい。そこで,マグネシウムの粉末を瞬間的に激しく燃やして,一瞬だが昼間のような明るさが得られるようになった。しかしこれは扱いが容易ではなく,まさにプロの技である。 フラッシュバルブ(閃光電球)が登場すると,一般人でも暗いところでの撮影ができるようになった。ただし,フラッシュバルブが発光するのは1回かぎりで,燃え尽きてしまう。これは,ランニングコストが無視できない。ほんとうに手軽に暗いところの撮影ができるようになったのは,ストロボとよばれることが多い,エレクトロニックフラッシュ(あるいはスピードライト)が登場してからのことである。いまではカメラにフラッシュが内蔵されているのは「あたりまえ」だが,フラッシュ撮影がまだ一般的でなかったころに登場した「ピッカリコニカ」が大ヒットしたのは,至極当然のことなのである。
フラッシュの発光は,ほんの一瞬である。したがって,通常の露出計では適正な露出を知ることができない。フラッシュ光が測光できるフラッシュメーターが必要だが,あまり一般的ではない。幸い,フラッシュの発する光の明るさは,機種によって決まっている。その明るさと,被写体までの距離から,適切な絞りの値を求めることができる。その明るさは,「GN (ガイドナンバー)」という値で示され,次のような式で適切な絞りのF値を求めることができる。
(GN)÷(距離)=(F値)
いちいちGNからF値を求めるのは時間がかかるし,慣れないうちは間違えやすい。そこで,いろいろな工夫がされている。たとえばフラッシュマチックというしくみは,カメラにフラッシュのGNをセットすれば,距離に応じて自動的に絞りが決まるというものだ。工夫はカメラ側だけではない。カメラの方で決めた絞りをフラッシュにセットすれば,自動的に適正な明るさの発光をするというものが登場した。汎用オートフラッシュなどとよばれるものである。 カメラ,とくに一眼レフカメラでは,レンズを通った光を測光する,TTL露出計が内蔵されることが一般的になってきた。汎用オートフラッシュではフラッシュに受光窓があり,被写体の明るさを知ることで発光を制御していたが,カメラのTTL露出計を利用して発光を制御するフラッシュもあらわれた。このようなフラッシュは,カメラとの信号のやりとりなどのために専用の接点を持ち,ある特定の機種でしかフルに機能を利用できないものが多い。これは,汎用オートフラッシュに対して,専用フラッシュなどとよばれることがある。 閃光電球の時代からフラッシュのメジャーなブランドであったパナソニック(ナショナル,ウエスト電器)は,汎用オートフラッシュの製造・販売を終了することを2010年にアナウンスした。
専用エレクトロニックフラッシュ (AE/AF一眼レフカメラ用)
専用エレクトロニックフラッシュ (コンパクトカメラなど用)
汎用エレクトロニックフラッシュ
フラッシュバルブ発光器
写真は光を記録するもの
写真というシステムは,光があたることによる化学変化を利用して,像を記録するものである。つまり,写真には光が必要なのである。発明されたころの写真は,昼間の屋外の撮影でも,露光時間が数10分以上かかるものだったが,感光材の発展によりだんだん「瞬間」を記録できるようになった。しかし,室内など暗いところの撮影には,やはり長時間の露光が必要である。照明を多数用いるなど,部屋を明るくする方法もあるが,どうしても大がかりになってしまう。写真として記録するためであれば,明るいのはほんの一瞬でよい。そこで,マグネシウムの粉末を瞬間的に激しく燃やして,一瞬だが昼間のような明るさが得られるようになった。しかしこれは扱いが容易ではなく,まさにプロの技である。
フラッシュバルブ(閃光電球)が登場すると,一般人でも暗いところでの撮影ができるようになった。ただし,フラッシュバルブが発光するのは1回かぎりで,燃え尽きてしまう。これは,ランニングコストが無視できない。ほんとうに手軽に暗いところの撮影ができるようになったのは,ストロボとよばれることが多い,エレクトロニックフラッシュ(あるいはスピードライト)が登場してからのことである。いまではカメラにフラッシュが内蔵されているのは「あたりまえ」だが,フラッシュ撮影がまだ一般的でなかったころに登場した「ピッカリコニカ」が大ヒットしたのは,至極当然のことなのである。
汎用フラッシュと専用フラッシュ
フラッシュの発光は,ほんの一瞬である。したがって,通常の露出計では適正な露出を知ることができない。フラッシュ光が測光できるフラッシュメーターが必要だが,あまり一般的ではない。幸い,フラッシュの発する光の明るさは,機種によって決まっている。その明るさと,被写体までの距離から,適切な絞りの値を求めることができる。その明るさは,「GN (ガイドナンバー)」という値で示され,次のような式で適切な絞りのF値を求めることができる。
(GN)÷(距離)=(F値)
いちいちGNからF値を求めるのは時間がかかるし,慣れないうちは間違えやすい。そこで,いろいろな工夫がされている。たとえばフラッシュマチックというしくみは,カメラにフラッシュのGNをセットすれば,距離に応じて自動的に絞りが決まるというものだ。工夫はカメラ側だけではない。カメラの方で決めた絞りをフラッシュにセットすれば,自動的に適正な明るさの発光をするというものが登場した。汎用オートフラッシュなどとよばれるものである。
カメラ,とくに一眼レフカメラでは,レンズを通った光を測光する,TTL露出計が内蔵されることが一般的になってきた。汎用オートフラッシュではフラッシュに受光窓があり,被写体の明るさを知ることで発光を制御していたが,カメラのTTL露出計を利用して発光を制御するフラッシュもあらわれた。このようなフラッシュは,カメラとの信号のやりとりなどのために専用の接点を持ち,ある特定の機種でしかフルに機能を利用できないものが多い。これは,汎用オートフラッシュに対して,専用フラッシュなどとよばれることがある。
閃光電球の時代からフラッシュのメジャーなブランドであったパナソニック(ナショナル,ウエスト電器)は,汎用オートフラッシュの製造・販売を終了することを2010年にアナウンスした。
専用エレクトロニックフラッシュ (AE/AF一眼レフカメラ用)
ニコン SB-20
Nikon / SB-20
マミヤライトZE
Mamiya / MAMIYALITE ZE
京セラ CS-140
KYOCERA / CS-140
京セラ CS-110 AF
KYOCERA / CS-110 AF
ミノルタ プログラムフラッシュ 3500xi
MINOLTA / ProgramFlash 3500xi
ミノルタ プログラムフラッシュ D-316i
MINOLTA / D-316i
ミノルタ プログラムフラッシュ 2800AF
MINOLTA / ProgramFlash 2800AF
専用エレクトロニックフラッシュ (コンパクトカメラなど用)
シーアンドシー イエローサブ50
SEA&SEA / YELLOW SUB 50
フジ フォトラマ証明写真用影消しストロボ
FUJI / FP-S
フジ フジカラーストロボP
FUJI / FUJICOLOR STROBO P
キヤノン キヤノライトED
Canon / CANOLITE ED
汎用エレクトロニックフラッシュ
ニコン スピードライト (SB-1)
Nikon / SpeedLight (SB-1)
ニコン リングライトユニット SR-1
Nikon / SR-1
ニコン リングライトユニット SR-2
Nikon / SR-2
フジカラー アローエース 16P
FUJI / FUJICOLOR ARROW ACE II 16P
ナショナル PE-5651
National / PE-5651
サンパック オート30SR
SUNPAK / Auto30SR
サンパック オートズーム2600
SUNPAK / Autozoom 2600
東芝 ロイヤル7
TOSHIBA / ROYAL 7
フラッシュバルブ発光器
東芝 BC発光器 P-3III型
TOSHIBA / BC Flashgun P-3III