フジ

フラッシュフジカ

FUJI / FLASH FUJICA

 フジから発売されたライカ判カメラとして,さいしょにフラッシュを内蔵したカメラである。巻き上げは手動のレバー式,巻き戻しは手動のクランク式,ピント調整は目測式で,操作に迷うことはない。フィルム感度はISO 25からISO 400まで設定でき,セルフタイマーも内蔵しており,機能としては必要十分なものとなっている。フラッシュは,電源スイッチをONにしてもポップアップしない。
 プラスチック製のボディは手に持つととても軽く,安っぽく感じる。しかしながら,その見た目はとてもカメラらしく感じられ,好印象である。フラッシュ内蔵のカメラとしては,Konica C35EFに先を越されたが,Konica C35EFでは露出計用の水銀電池とフラッシュ用の単3乾電池が必要だったのに対し,FLASHA FUJICAは単3乾電池だけで使用できるようになっている。水銀電池が一般的だった時代には,フラッシュ用の電池が消耗しても撮影ができることがメリットになったのかもしれないが,いまとなっては入手が容易な単3乾電池だけで使用できることは,好都合である。
 オートフォーカスではないのでピント位置を意図したところにあわせることができ,巻き上げも巻き戻しも手動なので故障しにくく,最悪でも撮影済のフィルムを取り出すことは可能である。シャッターレリーズボタンのストロークは,それなりの深さがあるものの一般的な程度であり,実際に露光されるタイミングもわかりやすいので,とても撮影をおこないやすいカメラとなっている。


FLASH FUJICA, Body No.5121968
撮影レンズFUJINON 38mm F2.8 4群4枚
シャッター速度1/4〜1/800
絞り2.8 〜 13.5
露出調節プログラムAE
ピント調節目測式 0.9m〜∞
内蔵フラッシュGN14 (ISO100)電源単3乾電池 2本
発売1977年

 日本カメラショー「カメラ総合カタログ」を参照すると,vol.54(1975年)に掲載されているフラッシュを内蔵したカメラはKonica C35EFだけであるが,翌年のvol.57(1976年)ではKonica New C35EFとYASHICA 35MFの2機種になっている。さらに翌年のvol.58(1977年)になってようやくFLASH FUJICAが掲載されるようになる。vol.61(1978年)にはそこに,Canon A35 DateLuxがくわわるようになる。このとき,コニカのページにはKonica C35AFが掲載されており,ついにオートフォーカスのカメラが市場にあらわれたのである。


FLASH FUJICA, FUJINON 38mm F2.8, Konica 100

 目測式カメラは,フォーカスのポイントを気にする必要もなく,シャッターレリーズの反応も速いので,撮りたいその瞬間を撮ることができる。レンズの性能も,じゅうぶんなものが感じられる。