SITO

サボワ・ロワイエII

SITO / SAVOY ROYER II

 フランス製の,露出計も距離計も内蔵されていないレンズシャッター式35mm判カメラである。撮影レンズの真上にビューファインダーがあるのは,撮影時にパララクスの影響が少なく,好都合である。
 このカメラは,フィルムの装填方法に大きな特徴がある。多くのカメラでは,背面側に蝶番が使われている裏蓋があり,そこを開いてフィルムの装填をおこなうようになっている。それに対してこのカメラでは,レンズ部をはずして,前面からフィルムを装填するようになっている。このSAVOY ROYER IIには,蝶番が使われている裏蓋があるので,一般的な方法でのフィルムの装填もできる。しかし,このカメラの前モデルSAVOY ROYER Iには,蝶番が使われている裏蓋がなく,フィルムの装填は,前面からおこなうことになる。
 このようなフィルムの装填方法のためか,三脚ネジ穴はレンズの真下にある。たとえば一眼レフカメラを三脚に固定したとき,カメラボディは三脚に固定したまま,レンズだけを交換することが可能だ。それに対してSAVOY ROYERの場合は,レンズが三脚に固定されたまま,カメラボディの方が外れることになる。このようなしくみは,中判カメラ等で,フィルムバックを交換することに似ているように感じられる。SAVOY ROYERは,途中でフィルムを交換できるようなシステムに発展させることも,考えられていたのだろうか。


SAVOY ROYER II, Lens No.J18786
撮影レンズSOM BERTHIOT 50mm F2.8
シャッター速度B, 1〜1/300
絞り2.8 〜 16
ピント調節目測 0.8m〜
発売1957年

SAVOY ROYER II, BERTHIOT 50mm F2.8, JX100

 装着されているレンズ,ベルチオは,派手さはなく,地味でおとなしい描写をする印象である。

SAVOY ROYER II, BERTHIOT 50mm F2.8, ACROS

 カメラ本体にシャッターレリーズボタンはなく,左手の親指でボディを握るようにシャッターレリーズレバーを操作するのがよいと思う。この場合,軽快にどんどん撮っていけるが,調子に乗って急いで巻き上げていくと,コマ間がやや不揃いになる傾向がある(これは,個体差があるかもしれない)。