ペンタックス

SFX

PENTAX / SFX

 PENTAXが1981年に発売した「ペンタックスME-F」は,はじめて市販されたオートフォーカス(AF)一眼レフカメラとされている。カメラボディに測距センサをもち,レンズとの間で信号のやりとりをおこない,レンズに内蔵したモーターでレンズのピントリングを動作させ,自動的にピントをあわせるというものである。ボディは「ペンタックスMEsuper」と同じように,Kマウントの交換レンズを利用できたが,AFに対応するレンズは結局,1本しか用意されず,AFシステムとして発展していくには至らなかった。モーターを内蔵することから,価格や大きさ,重さを抑えることが難しかったものと考えられる。
 その後,1985年に「ミノルタα-7000」,翌1986年には「ニコンF-501AF」が発売された。これらは,カメラボディに測距センサをもち,ボディに内蔵されたモーターがレンズを動かしてピントをあわせるようになっていた。レンズにモーターが内蔵されなかったためか,レンズは従来のものよりも軽く,価格も抑えられたものになっている。ここに,本格的にAF一眼レフカメラの時代が訪れたといえる。
 ペンタックスが,そのようなタイプのAF一眼レフカメラを発売したのは,1987年になってからのこと。それがこの「ペンタックスSFX」である。この最大の特徴は,ペンタ部にフラッシュが組みこまれたことであろう。1986年に発売された「オリンパスOM-707」はフラッシュ内蔵のグリップを装着することが可能だったし,同年発売の「京セラ230AF」はペンタ部に一体型の専用フラッシュを装着可能だった。それに対して「ペンタックスSFX」は,フラッシュを完全に内蔵したことになる。もっとも,これ以前に「フジカST-F」のような例もあるので,「ペンタックスSFX」が「はじめてのフラッシュ内蔵一眼レフカメラ」というわけではない。しかし,世界ではじめて商品化されたAFカメラ「ジャスピンコニカ(C35AF)」が,フラッシュを内蔵して大ヒット商品になった「ピッカリコニカ(C35EF)」にAF機能を内蔵したことで大成功に至ったことと同様に,AF一眼レフカメラとフラッシュとの組み合わせは,多くの人が一眼レフカメラでの撮影を楽しめる時代の嚆矢となったのは確かなことだろう。
 ペンタ部に設けられた大きなLCDも,外見上の特徴の1つといえるだろう。
 個人的には,「SFX」という名称とグリップ部に設けられた大きな「SFX」のロゴが,なんとなく安っぽく感じられたため,このカメラにあまりよいイメージを抱いてはいなかった。ただ,ペンタックスとしてもはじめての本格的なAF一眼レフカメラということもあるのだろうか,プラスチック製のボディながら,手にしたときに安っぽさは感じない。動作も歯切れよく,当時としては他社製品にくらべてまったく遜色のない性能だっただろう。
 このカメラで優れていると思われるのは,電源である。標準装備されているグリップ部に6Vリチウム電池を装填するが,2CR-5でもCR-P2でも,どちらでも使えるようになっている。

日本カメラショー「カメラ総合カタログ」では,vol.88(1987年)からvol.93(1988年)まで掲載されている。

PENTAX SF X, No.4002620
シャッター電子制御縦走り金属幕
シャッター速度B,30〜1/2000スピードライト同調1/100sec,X
露出モードプログラムAE,絞り優先AE,シャッター速度優先AE,マニュアル
マウントKAFマウント
電源6Vリチウム電池 CR-P2,2CR-5
発売1987年