ペンタックス

MZ-60

PENTAX / MZ-60

 小型軽量で簡単な操作を目ざした,エントリーモデルのオートフォーカス一眼レフカメラ。プログラムAEモードでは,標準プログラムモードのほかに,5種類(人物プログラムモード,風景プログラムモード,近接プログラムモード,動体プログラムモード,夜景プログラムモード)のイメージプログラムAEを選択することができる。このうち,人物プログラムモードでは,望遠レンズ使用時にはポートレート撮影,標準レンズ使用時にはスナップ撮影,広角レンズ使用時には集合写真撮影に適した絞りやシャッター速度が選択されるようになっている。モードの切りかえは,ボタンを押して後に,カメラを構えたときに右手人さし指の位置にあるノブによっておこなう。ダイヤル式ではなく,シーソー式なので,素早い設定の変更は難しいが,このクラスのカメラではそのような使い方は想定されないだろうから,これでいいのかもしれない。
 レンズは,ペンタックスKAFマウントを採用。絞り値を機械的に伝達するレバーが省略されているため,AF化されていないKマウントレンズは使用できない。小型軽量なボディという特徴が活かされるように,できるだけコンパクトなレンズと組み合わせて,気軽に撮るのが似合うだろう。
 中級機として位置づけられるPENTAX MZ-Lの翌年に発売され,MZシリーズとしては最終モデルになった。次の機種は,*istシリーズとなる。

PENTAX MZ-60, No.5474259
シャッター電子制御縦走り金属幕
シャッター速度32分,30〜1/2000スピードライト同調1/100sec,X
露出計TTL 2分割評価測光
露出モードピクチャープログラムAE(6種類),絞り優先AE,シャッター速度優先AE,マニュアル,バルブタイマー
マウントペンタックスKAFマウント
発売2002年

 ペンタックスのオートフォーカス一眼レフカメラのシステムは,マニュアルフォーカス一眼レフカメラのシステムと,レンズマウントの基本形が共通していることが特徴といえる。この点は,ニコンと同様である(しかも,現在のオートフォーカスのシステムとは互換性のない,初期のオートフォーカス一眼レフカメラがあったことも共通している)。また,エントリークラスのボディでは,レンズマウントの基本形が共通しているためにレンズの装着そのものは可能でも,機械的な連動機構が省略されているために露出計が利用できないようになっている点についても,ペンタックスとニコンとでは共通している。
 しかし,ニコンでは露出計は利用できないがマニュアルモードでマニュアルフォーカスレンズが使用可能(F60など)になっているのに対し,MZ-60ではマニュアルフォーカスのレンズを取りつけるとカメラが動作しないようになっている。「適切ではないレンズを取りつけたときには動作しないようにすることで,撮影ミスを防ぐ」ことを優先するか,「多少の制約があっても古いレンズを使えるようにしておく」ことを優先するか,といったペンタックスとニコンとの思想の違いが見られる点である。