イハゲー

エキザクタ ヴァレックスVX

IHAGEE / Exakta Varex VX

 現在の35mm判一眼レフカメラのスタイルは,第2次世界大戦前の「キネ・エキザクタ」に,その原型があるとされる。EXAKTA VXのシリーズは1950年代の新しい製品であるが,「キネ・エキザクタ」が発展し改良を加えられたモデルであると考えることができるだろう。
 巻き上げレバーおよびシャッターレリーズボタンが左手側にあることは,このカメラの特徴であり,慣れるまではその操作に違和感が伴うと思う。その点さえ除けば,横走り布幕フォーカルプレンシャッターで1/1000秒から12秒まで露光時間をコントロールできる点は,現在の基準で考えても十分に実用的なスペックだ。ただし,1/25秒より長時間の露光を設定する手順は,少々煩雑になる。まず,シャッター速度ダイアルを「T」に設定する。次に,右手側の強いゼンマイを操作して,露光時間を設定する。なお,そのゼンマイは,セルフタイマーとしても使われる。
 クイックリターンミラーや自動絞りなどは実現されておらず,一眼レフカメラとしての「欠点」を残しているが,交換レンズは豊富にあり,ファインダーも交換できるなど,システム的にはたいへん充実している。なお,自動絞りについては,後にレンズ側の工夫で実現されている。

 このカメラの魅力は,なんといってもその見た目のキラキラした美しさである。左右が鋭角的になったボディは,ホールディングに適した形であるとは言い難いところもあるが,デザイン的にはたいへん美しいものに感じるのである。
 見た目だけでなく,システムとしての魅力も大きい。
 ファインダーが交換できるところは,この時代のカメラとして重要なことだと思う。被写体を狙うにはプリズムファインダーが便利であるが,ファインダースクリーンが現代のカメラほど見やすくはないので,精密なピント合わせには,拡大ルーペが内蔵されたウエストレベルファインダーを使いたいところである。また,左手前面にシャッターレリーズボタンがあることは,アイレベルで撮影するときには違和感が強いが,ウエストレベルで撮影するときには,案外と快適である。これは,実際に体験していただくしかないであろう。
 ちなみに,EXAKTA VAREX VXで重要な「見た目」に関しては,ウエストレベルファインダーを装着してフードを開いた状態にしておくのが,とくにかっこいいと思うのであった(笑)。
 交換レンズは,伝統のブランド,ツァイス・イエナ製のレンズを使うのが,このカメラの魅力をもっとも引き出すのかもしれないが,ほかにもさまざまなブランドのレンズが供給されているので,それらを使うのもおもしろい。もっとも,私のように,タムロン・アダプトールのトプコン用マウントを使って,タムロンのズームレンズを使ったりするのは邪道なのかもしれないが・・・・(この場合,エキザクタボディに,少し手を加える必要がある)。

 ここで紹介するEXAKTA VXは,「EXAKTA VAREX VX」という名称になっているが,アメリカ合衆国向けの製品には「VAREX」がついておらず,単に「EXAKTA VX」になっている。名前が違うだけで,機能的にとくに差はないとのことだ。

EXAKTA VAREX VX (version 3), No.750283
シャッター機械制御横走り布幕
シャッター速度B,T,12〜1/5,1/25〜1/1000スピードライト同調1/25sec,FP
露出計なし露出モードマニュアル
マウントエキザクタマウント
その他ファインダー交換可能
発売1953年?

 EXAKTA VXシリーズは,細かく見ればいくつかの種類に区分できるようだが,全体として数多く出回っているカメラであり,決してレアなカメラではない。また,一眼レフカメラとして見た場合,ニコンやキヤノンのカメラにくらべて完成度が低いと感じられることだろう。そのためか,ライカ等のいわゆるレンジファインダーカメラにくらべると,交換レンズも含めて人気はかなり低いようだ。
 それだけに,ボディもレンズも,比較的安価に流通しているように見える。できれば数1000円で見つけたいものだ。ただ,「Exakta」のネームが浮き彫りになっているものは,やや人気が高いようである。