ニコン

Aiズームニッコール80-200mm F4.5

Nikon / Ai Zoom-NIKKOR 80-200mm F4.5

 1977年に,さいしょのAiニッコールの1つとしてとしてラインアップされた望遠ズームレンズである。開放F値がF4.5でやや暗いレンズであり,スプリットイメージが陰りやすいという使いにくさはあるが,フィルタ径が52mmになっていて多くの単焦点レンズとフィルタを共用しやすい点は評価できる。

 ズームレンズは,レンズをつけかえることなく連続的に焦点距離を変えることができるレンズをさす。35mm判カメラ用のズームレンズとしてはじめて商品化されたものは,VoigtlanderのBessamatic用として1959年に発売された「Voigtlander Zoomar 36-82mm F2.8」であるとされる。このスペックはとても立派なものだが,その姿も立派なもので,巨大なレンズとなっていた。その後,ニコンからも85-250mm F4-4.5や200-600mm F6.5-10.5というズームレンズが発売されるが,いずれも望遠ズームレンズの範疇にはいるものである。1963年にようやく,43-86mm F3.5という標準域をカバーするズームレンズが発売された。さらに,広角域までカバーするズームレンズの登場は,1975年の28-45mm F4.5まで待たねばならなかった。
 広角域をカバーするズームレンズがなかなか登場しなかったのに対して,望遠ズームレンズは各社から次々に発売された。そのなかでも,よくあるものは80mm-200mmクラスのものだった。かつて,一眼レフカメラを買うときには,50mmクラスの標準レンズをあわせて買うのが一般的だった。そして,次に広角レンズを買うか,望遠レンズを買うかで,悩むことになる。交換レンズは,焦点距離を倍数系列で揃えるというのが1つの目安になっていたから,広角レンズとしては28mmクラスのものが選ばれることが多かった。一方,望遠レンズとしては,まず100mmクラスのものが選ばれることになる。倍数で考えれば,つぎは200mmを選ぶことになる。そこまで考えると,望遠レンズについてはさいしょから,80-200mmクラスの望遠ズームレンズも有力な選択肢になるわけだ。

1959年に発売されたAuto-NIKKOR Telephoto-zoom 8.5-25cm F4-4.5は,はじめて発売された35mmスチルカメラ用望遠ズームレンズとされている。これは,フィルタ径が82mmの巨大なレンズであった。1973年に発売された,Zoom-NIKKOR Auto 80-200mm F4.5ではフィルタ径が52mmになり,ずっとコンパクトになった。
 そして1977年には,Ai化されたAi Zoom-NIKKOR 80-200mm F4.5が発売された。
 さらに1981年には,開放F値がF4でやや明るくなったAi Zoom-NIKKOR 80-200mm F4Sが発売されるが,フィルタ径が62mmと大きくなっている。

Ai Zoom-NIKKOR 80-200mm F4.5, No.848681
焦点距離80mm-200mm 口径比4.5
レンズ構成9群12枚
マウントニコンF Ai連動,爪あり
発売1977年03月発売