ニコン

U

Nikon / U

 このカメラの特徴は,まずその名前にある。「Nikon U」の「U」には,「you」「遊」「優」「友」などの意味が盛りこまれているとのことである(*1)。このようなネーミングは,Canon EOS kissやMINOLTA α-sweetなどにも通じる感覚のものであろう。
 ニコンの一眼レフカメラの多くには,伝統的に「F」のつく名称が与えられてきた。人類史上に燦然と輝くNikon Fにはじまり,電子制御シャッターを用いたAE機構をセールスポイントにしたNikomat ELシリーズ,Nikon EMおよび一部の輸出モデルなどを除いた,ほとんどすべての一眼レフカメラに「F」の文字が含まれていたのである。「F」を(さらには「E」も)含まないネーミングは,ニコンとしてあたらしい路線のカメラであることを意識しているのかもしれない。
 Nikon Uは2001年に発売されたが,海外では一足早く2000年末に,Nikon F65として発売された。エントリーモデルNikon F60の後継機と考えられる。F60からの改良点としては,AFの測距点が5つになったことがあげられる。そのほか,ファインダーがペンタミラーで構成されるようになったことが,ボディの軽量化に大きく貢献した点としてあげられる。ただし,ペンタミラーの採用は,「ニコンのこだわり」が薄くなったとして,マニア層からは評価が低い傾向があるようだ。これは,ニコンとしては「あたらしい路線」であると言えるのではないだろうか。この後ディジタルカメラが急速に普及していくことになるが,Nikon U2,Nikon Usという後継機が登場したことを考えれば,「あたらしい路線」の最初のカメラとして,Nikon Uを位置づけてもよいだろう。

Nikon U, No.2549715
シャッター電子制御縦走り金属幕
シャッター速度B,30〜1/2000スピードライト同調X接点 1/90sec
露出モードオート(イメージプログラム5種),プログラムAE(プログラムシフト可能),シャッター速度優先AE,絞り優先AE,マニュアル露出
露出計3D-6分割マルチパターン測光(Dタイプレンズ),中央部重点測光(マニュアル露出時)。
内蔵スピードライトGN12 (ISO100), 28mmレンズをカバー,スローシンクロ,後幕シンクロ可
ファインダー内情報シャッター速度,絞り,露出計
発売2001年

 ニコンUのカタログも,注目に値する。
 カメラのカタログは,「左開き」で「本文横書き」のものが一般的であるが,ニコンUのカタログは「右開き」で「本文縦書き」になっている。これは,一般的な週刊誌等と同じスタイルだ。カタログ紙面のレイアウトも,雑誌の特集記事のようなスタイルになっている。こういう点からも,ニコンUが,カメラマニアをターゲットとしていないことを意図しているといえるだろう。


*1 http://www.nikon.co.jp/news/2001/u_01.htm
   「35mm(135)判オートフォーカス一眼レフカメラ「Nikon U(ユー)」を3月24日発売 (2001年2月28日)」